2007年6月23日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】国内工業界では四月度、雇用率が昨年同月対比一・七%の上昇を見せて、二〇〇五年五月以来の高率を示した。これにともない従業員の給与も同様五・九%増加し、実質収入が増える結果となり、経済成長はかけ声倒れでは無いことを実証した。しかし関係者は、今年のGDP成長が政府発表の四・五%に対して、雇用増加は少ないと見る向きもある。いっぽうサンパウロ州では、四月度の雇用は二・二五%で、〇四年好況を上回る高率となったことで、年内は二%以上の上昇になると予測されている。
ブラジル地理統計院(IBGE)が十四日に発表した雇用統計によると、四月度の工業部門は昨年同月対比一・七%増で、二年振りの高率となった。前月(三月度)比は〇・五%増、今年四カ月の累計は一・四%増、過去十二カ月間の累計は〇・六%増と、いずれも良好な結果となった。
IBGEのアナリストは、雇用増加は金利の引き下げ、所得増加による消費の伸長、農産物の順調な収穫増などによる効果だと指摘している。しかし、工業開発研究員(IEDI)のアナリストは、GDPの今年の成長が四・五%とされている中での四月度の雇用増加は少ないとの見方を示している。
とくにドル安の影響で不況に陥った製靴業界と衣料業界では失業が増加しているのが、懸念材料だとしている。製靴部門は昨年四月対比マイナス五・七%、衣料部門はマイナス五・八%で人員削減に追い込まれている。
四月度に雇用が増加した主な部門は石油やアルコール精製が八・四%(エタノール好況を反映)、鉄製品が五・三%(建築業界の好況で需要が増加)、機器類が五%(農産物の増収)、食料品および飲料が四・四%(農産物の好調に加え内需が増加)、運送業が四%、化学品が三・五%、鉄鋼原料が三・四%、繊維三・三%となっている。
逆に雇用減少を見たのが印刷(マイナス二・九%)、木工(同三・三%)、衣料(五・八%)、製靴および皮革品(五・七%)、タバコ(一二・九%)だった。
工業界の成長は所得にも反映している。四月度の給料袋の中味は前月(三月)対比で一・四%増、昨年四月度対比で五・九%増となった。
いっぽうでサンパウロ州では、サンパウロ州工業センター(CIESP)が当初、今年の雇用増を一・八%としたが、二%を超すとの予想が大勢を占めている。四月度は二・二五%増の高率を記録した、五月度は例年落ち込みとなるにもかかわらず、今年は〇・五四%と大勢を維持した。地方都市が四月度〇・九一%増で今年累計で七・二四%増と好調さを見せた。サンパウロ市都市圏はそれぞれ〇・〇二%、マイナス〇・一三%と振るわなかった。