2007年6月23日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】サンパウロ市モルンビー区で十三日に発生した、家宅侵入による集団強盗事件で一三万レアル相当の金品が奪われたことで、防犯の在り方が問われている。
今回の事件は現場が外部から隔離された私有地の住宅地(コンドミニオ・フェシャード)だった上、知事官邸の七〇〇メートルの場所だっただけに、大胆な犯行として驚きをもって迎えられた(本紙十六日付既報)。このほかにも同区では高級住宅地とされるだけに狙われ易く、強盗の被害が相次いでいる、
先月十六日には売りに出されている空き家から侵入した強盗が、塀を飛び越えて隣家に押し入り、家人を縛り上げて四〇〇〇レアルと四〇〇〇ドルならびに貴金属類を奪って家人のカローラ車で逃走した。犯人らは逮捕されたが一人は刑務所を母の日の特赦で期限付き釈放された服役囚だった。
四月二十四日も集団強盗団が住宅に押し入り家族ら六人を人質としたが、警官が異変に気づき包囲、大捕り物となった。二人が逮捕されたが残りの一味は逃走した。逮捕された一人は刑務所を出所したばかりの前科者だった。
同区住民の自治会々長は、以前は同区は堅固な警備が定説になっていたが、最近は他の地区よりも犯罪が多発しているとし、知事官邸や警察署があろうがお構いなしに、狙った獲物は手に入れる悪党がはびこる世の中になったと嘆いている。
犯罪研究家によると、過去二年間に発生した住宅強盗の五四%は午後六時半から十一時の間に起きており、その五一%は住宅の正門から侵入している。これに対し、現在の常識では鉄製の扉を設置して守衛を置くことで安全だと思われているが、これが大間違いだと指摘する。
これらの住宅は富裕階級の集まりと見なされ、強盗団に対しこれ見よがしに誇示しているようなもので、強盗団を招き入れるようなものだという。さらに守衛は武装しておらず、楽々と拉致して正門から堂々と侵入でき、犯罪を助けているとしている。
理想的なのは進歩した防犯装置を設置することだが、経済的負担が大きいことが難点だという。さらに犯罪集団は常に防犯装置を研究しており、先端を走っていることを念頭におくべしと警戒を呼びかけている。その上で最良の防犯対策は、灯りを増やして街路を明るくし、住民のコミュニケーションを良くして不審な人物の侵入を阻むことが肝要だと説いている。
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】モルンビー区と並び上流階層の集約地とされるジャルジン区では先週、今年に入って四七番目となる住宅強盗の被害にあった。被害にあったホンジュラス街の住宅は、軍警駐屯部隊とは八〇メートルの距離だった。
四五〇〇世帯が居住する同区では二〇〇五年に十五件の住宅強盗が発生したことで、警備専門会社に防犯を委託して、〇六年には六件に減少した。しかし今年はブーム再来で、昨年対比で七倍近い六八三%の増加となった。四七件の被害のうち、届けを出したのは二三件で、残りは警察への不信感を露わにしている。