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新アルモニア日伯学園構想―――幼稚部校舎起工式を挙行=「大鉢に植え替える時」=さらなる協力を呼びかけ

2007年6月26日付け

 サンパウロ市近郊のサンベルナルド・ド・カンポ市にあるコレジオ・アルモニア(和田忠義理事長)が進めている百周年記念事業「新アルモニア日伯学園構想」が二十四日、幼稚部校舎の起工式を行った。来賓や父兄ら約五百人の立ち会いのもと、次の百年に向けて「日本文化普及拠点」を強化する具体的な道筋がひかれた。
 生徒を代表して挨拶した中学部のカネシロ・ハダラニさんは、「遙か昔に播かれた一粒の小さな種が大きく育ち、もっと大きな鉢が必要になってきました」とブラジル力行会が始めた教育事業を讃えた。
 同じく中学部の非日系生徒、マルセウ・ゲヘイロ・アウベッチさんは日本語で「日本語・日本文化に触れる機会を与えてくれてとても嬉しい」と語った。やはり非日系のフェリッペ・シィネタさんも日本語で「この学校の生徒であることを誇りに思います」と語った。
 百周年記念協会の上原幸啓理事長は「最も大事なプロジェクトの一つ」と位置づけ、西林万寿夫在聖総領事も「百周年記念事業の多くは一回限りのものだが、ここは将来を見すえた未来志向」とした上で、自助努力で総工費の半分を集めた学校の姿勢を称賛した。
 式典の中では小学部生徒により、「ちゅーりっぷ」「線路は続くよ」「翼をください」などの合唱が披露され、盛んに拍手を浴びていた。本村マリオ事務局長によれば生徒数三百二十人のうち日系比率は三〇%程度だが、全員が暗記して楽しそうに歌った。
 式典の最後に、来賓や役員らがスコップ一杯分ずつのコンクリートを基礎工事の穴に入れ、神父がその場を祝福した。
 ニッケイ新聞の取材に対し、和田理事長は「完成させるには、まだまだみなさんの協力が必要。建設資材でもいいので、よろしくお願いしたい」と呼びかけた。
 起工した幼稚部校舎は三階建て、延べ床面積一千平米の建物で、三~六歳の幼児を約百人収容(現在は四十人)できる。総工費百二十万レアルのうち、すでに六十二万二千レアルは学生寮OBら六十六人から集まっている。
 日伯学園構想の提唱者である宮尾進氏は「鉄は熱いうちに打て、だ。幼稚部は日本文化に親しんだ人材を育てる要だ。この一歩は非常に重要だ」と語り、〇一年に自身が委員として関わった文協の日伯学園検討委員会が構想を始めて以来、六年の長きを経て具体化したことを喜んだ。
 松田弘子校長も「全ての人種が一つの家族となって、日本文化に親しめるような学校にしたい」と抱負をのべた。
 〇五年に息子を高校部第一回卒業生として送りだし、現在も娘が在学中のライラ・サンタナ・レモスパイヴァさんは「日本人の勤勉さとブラジル人のもてなし精神が、ここの教育で結合し、両国の素晴らしい資質を持ったこどもが育てられる」と父兄から見た教育方針をほめた。
 当日は同市のアジミール・フェロ教育局長、ブラジル力行会の永田久会長、
市長代理として企画・情報技術局の南洋行局長も出席した。参加者はそのままシュラスコを楽しんだ。