2007年6月27日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】エネルギー政策委員会は二十五日、長年保留してきた原子力発電所の増設として、アングラ第三原発の建設を決定した。フブネル臨時鉱動相は、ブラジルが火力発電所の増設を必要としており、アングラ第三原発はその一環であると述べた。同原発に対する環境保護院(IBAMA)の許可は申請済みであり、二〇〇七年内に工事を開始すれば、二〇一三年に稼動する予定。再度の電力危機を避けるため、さらなる原発の増設と、核燃料廃棄物処理計画も急ぐ必要があると民間機関がいう。
エネルギー政策委員会は八省の九人からなり、原発の建設承認を表決したところ、賛成八票、反対一票で可決した。反対したのは、環境相の代理コポビアンコ次官であった。アングラ第三原発は火力発電と比べ割安のエネルギーであり、炭酸ガスも排出しない。
アングラ第三原発の発電能力は一三五〇メガワット。建設コストは核燃の廃棄費用も含めて七二億レアル、二〇〇六年時点でMW/時当り一四〇レアルであった。その後国の経済状態や融資条件が好転し、コストは引き下げられる見込みという。
ウラニウムの濃縮技術についても各プロセスの処理を国内で行い、海外で委託処理を発注する必要はないと鉱動相は述べた。アングラ第三原発は、全てのプロセスを国内で行う初めての原発となる見込みだ。
原発の建設工事開始前に政府は、六億レアルを投じて核燃公団(Nuclep)の大型機器設置とシステムの整備を行う必要がある。またウラニウムの濃縮技術は国内で開発したが、まだ試験段階であり、量産実験はしていない。
核燃生産の専門設備として、核燃会社(INB)を立ち上げる。ここでアングラ第一と第二が、使う核燃の六〇%を二〇一〇年までに生産する。核燃の生産には五つの工程がある。そのうち濃縮とガス化の二工程は、まだ完全に掌握していない。設備への投資不足があったからだ。第一と第二で発生した資金不足の問題は、第三が鳴り物入りの原発計画であるため、同時解決されそうだ。
政府は資金捻出のため、ウランの輸出に踏み切ると思われる。しかし、ウランの輸出には数々の国際問題があり、政府は決断に至っていない。INBは活動を開始するために資金の独自調達を考え、少ない資金で活動できる工程から生産を始める予定だ。
政府の原発建設再開は、世界にも波紋を巻き起こすとみられる。原発は一時、悪魔のエネルギーと呼ばれた時期があった。原発を断念したドイツやイタリアは、スイスやフランスから電気を輸入している。原発建設に力を入れているのは、活気盛んなインドや中国などの新興国である。
ブラジルには、アングラ第三に続き、第四原発の建設計画がある。降雨不足で貯水量が懸念される最近では、水力発電よりも原発は頼りになる。マデイラ川開発で出鼻を挫かれた電力計画にとって、原発は環境問題がうるさくない駆け込み寺だ。またガスによる火力発電は、大口の供給源を見込めない。太陽発電や風力発電は、産業用に間に合わない。