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深刻な学業放棄と低学力=GDP0.5ポイント引き下げ

2007年6月27日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】ブラジルの青少年の学業放棄と低学力が、国内総生産(GDP)を毎年〇・五ポイント引き下げている―。ブラジリアで二十五日に発表された世界銀行の調査結果が明らかにした。
 「危機的状況下にあるブラジルの青少年」と題された調査報告書によると、毎年〇・五ポイントの損失は四十年間にGDPの一六%、金額にして三〇〇〇億レアルに上るという。もし小学校を中退した若者が高校まで進学していたら、もっと高い給与をもらえていたとの仮定の下、そうした給与の取りこぼし分を世銀は試算した。
 こうしたマイナス面は、経済成長率だけにとどまらず、失業、犯罪、エイズ、薬物乱用、未成年者の妊娠といった社会問題にもつながる。「人的資源の蓄積が少ないと、将来の人材の競争力も低くなる。青少年を支援しなければ、国の払う代償はかえって高くなることを、政府は考慮しなければならない」と報告書は指摘している。
 ブラジルの青少年の就学年数は平均八・五年で、以前より改善されつつあるが、大学に進学する若者の数は中南米諸国の中で、最も少ない。政府は十五歳から二十九歳までの若者五〇〇〇万人のうち、九五〇万人が通学も仕事もしておらず、さらに四五〇万人は初等教育も修了していないとみている。
 一方、報告書は、公共機関によるこの世代への社会投資は全体の〇・六%に過ぎず、大学教育への投資を除けばほとんどゼロで、危機的状況の改善には程遠いと警告している。