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経済発展妨げるお役所仕事=零細企業泣かせ=開業手続きの簡素化を=事業内申書で融資促進

2007年6月27日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五月三十一日】ブラジルの経済発展を妨げているのは、ちみもうりょうで零細企業泣かせのお役所仕事だと、SERASAのエウシオ・A・ルッカ社長が糾弾。SERASAは、アナリストで定評のある金融企業である。ブラジルは現在、これまでになかったほどの条件に恵まれた経済環境にあると同氏はみる。経済を活性化させる活力は、零細企業にある。経済に活気がある国は、零細企業が生き生きと活動しているという。
 解決策は、零細企業専用のポウパテンポ(手続き速成機関)を設置することと同氏は提言した。政府は零細企業を育てることにもっと関心を注ぐべきだ。零細企業の力で複雑怪奇な官僚主義の壁を打ち破ることは、不可能だから。
 同時に官僚主義の壁が、大企業や政治家に不正取引のチャンスを与えている。経済が安定したため、基本金利は引き下げ傾向にあり、金融緩和も進行したので、企業は事業計画が立案し易くなっている。忌むべきお役所仕事と複雑な税制は、零細企業にとって最大のガンである。
 産後間もない零細企業の二九%が、一歳の誕生を迎えることなく死亡している。五年目の誕生日を迎えるまでに、五八%が死亡する。零細企業はお役所通いで貴重な時間を費やし、事業計画が中途半端になるのが、死亡原因である。
 起業は、かねての腹案や失職が動機となっている。やる気やヴィジョン、行動力は、既存企業の比ではない。為替率は、開業した零細企業に関係がない。レアル高ドル安を前提として発足したからだ。零細企業は、生産すればカネが入る。しかし、お役所システムがそうさせない。
 起業奨励のポウパテンポが設置されれば、開業希望者が殺到するはずだ。ポウパテンポで臨時の許可証を発行し、後日公式の証書を手渡せばよい。官庁の要求事項は、期限を設けて遂行させればよい。官僚システムが複雑だから、違法行為の台頭を許すのだ。ブラジルはチップ制度がものをいうため、くすねる者と提供する者が後を絶たない。
 ブラジルには、五〇〇万の零細企業と一〇〇〇万のアングラ企業が存在する。マッキンゼー報告によれば、アングラ企業を二〇%減らせば、経済成長率を一・五%アップできるという。零細企業には個人経営と零細企業が混在し、個人経営は事業内申書がないので、融資の対象から洩れる。
 金融機関にとって事業内申書は、融資の保証である。個人経営といえども零細企業は、事業内申書の仕様を学ぶ必要がある。多くの零細企業経営者は、何も持たずに融資申請の相談にくる。カネが出れば良い。出なければ我慢するだけで、事業内申書にも利率にも考えが及ばない。
 融資について銀行も親切に指導しない。経営者も突っ込んでリスクなどについて質問しないし、調べもしない。これは両方の熱意不足だ。最近は金融コンサルタントが、銀行向け個人の内申書を作成するようになった。出生以来の学歴や職歴、その他経歴を大企業並みに作成する。
 内申書は、個人に対するリスク・ランクである。これまで零細企業や個人経営にとって無縁のように思われた企業診断書や個人内申書を作って見てはどうか。零細企業がどこへ出ても引けを取らない技術か企業秘密を有するなら、いずれ必要になる。
 特に輸出を目指す零細企業には、融資が必要であり、企業診断書は欠かせない。ドローバック方式で経営する零細企業には、安価な輸入資材と工作機械の導入で、輸出のチャンスが待っている。外国からの低利融資や長期払いの資材輸入も可能である。ブラジルは、順風に帆を揚げて進む船である。