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中国マネーが伯に?=リスク分散で途上国株に買い

2007年6月27日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五月二十四日】これは仮定の話であるが、もしも中国がヴァレ・ド・リオドーセを買収し、世界の鉄鉱石をコントロールしたら、世界の鉄鋼市場はどうなるのか。中国政府は二十三日、今年末に保有予定の外貨準備高一兆二〇四九億ドルのうち三〇億ドルを米国のブラックストン・ファウンドのリスク投資へ向けると発表した。
 これは金融市場を揺るがす重大決定であり、先の仮定が現実となる可能性を秘めている。中国は三月にも外貨準備から一兆一〇〇〇万ドルを引き出し、そのうち六〇%を米国債Tボンド購入に当てた。中国政府は、この金融取引をリスク分散だと説明した。
 中国政府はそのため投資局を設立し、まずは二〇〇〇億ドルの管理を命じた。この資金が狙う投資先は、配当が少なくても資産が十分あって健全な有力株を探している。紙くずになるTボンド国債に投じた六六〇〇億ドルをこっちへ回せば、ブラジルの中堅企業がほとんど射程内に入る。
 ドル通貨が三〇%下落すれば、米国が債務を踏み倒したのと同じだ。中国が健全投資を優先するなら、危険な米国債から逃げてくるのは必定である。その駆け込み寺がブラジルであったら、どうなるのか。中央銀行のドル介入はその誘い水ではないか。
 人騒がせなグリーンスパンFRB前議長が、中国発の世界恐慌を暗示するような発言をして分散投資を促した。前議長の予測では世界の優良株が買いまくられ枯渇すると、投資家のリスクに対する考え方が変わり、ブラジルなど途上国企業の株が広く買われる。
 中国など発展途上国は一斉に、外貨準備を戦略部門に投資する。ブラジルの代表企業は、まさに戦略物資コモディテイのオーソリティである。ブラジルは、核開発も含めて世界から羨望の的となる。それが良いか悪いかは別の話だ。