2007年6月28日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】上院倫理委員会のシバー・マシャード委員長(労働者党=PT)は二十六日、ブラジル民主運動党(PMDB)がカリェイロス上院議長(PMDB)に関する疑惑解明の公約を履行しないことを理由に辞表を提出した。同委員長は先週から、上程者の後任選びで心労が重なっていた。上院議長に対する政治倫理の抵触告発を上程することで、期待したラウピ上議(PMDB)が断わり、PMDBによる事態収拾の努力が座礁したことが明白となった。二週間にわたる政治の空白は、時間稼ぎで疑惑風化を試みる上院議長派の策略とみられるに至った。
上院議長の救出作戦は、上程者指名の代わりに上院倫理委員長の首を差し出させたらしい。上程者はカフェテイラ上議(ブラジル労働党=PTB)の辞任で、後任となったサウガード上議(PMDB)が一日上程者で任を去った。
上院議長に対する実娘の養育費を建設会社に負担させた告発の受理を決める表決は、上程者不在のため宙に浮いた。最後の切り札と見られたラウピ上議の上程辞退で、上院議長救出のためにPTが犠牲となる公算と判断したようだ。
秩序混沌の上院倫理委員会は、上院議長を助けるために迷惑な置き土産をもらうことになりそうだ。上院議長陣営は、議会政治の常識も政府与党の体面もなく事態引き伸ばしを図り、上院議長への告発圧力を風化させるつもりらしい。
倫理委員長の辞任で政治ドラマは次回へ移った。倫理委副委員長のサンターナ上議(民主党=DEM)が委員長へ昇格。疑惑の料理は、PMDBの台所からDEMの台所へ移った。上院議長派のダラダラ戦術で最も傷を負ったのは、マシャード倫理委員長のようだ。PTはPMDBの優柔不断で、改めて煮え湯を飲まされた思い。
DEMは二十六日、カリェイロス上院議長に対し真相解明までの休職を公式に勧告した。新たな上程者は即時、DEMが指名する。抗弁のチャンスを与えるまで上院議長派に一切の動きを禁じ、ロリス上議(PMDB)の疑惑関与にもメスを入れるという。
倫理告発の上程者がいないのではない。対象が上院議長であり、重みのある適任者がいないのだ。上院議長派のパワーは侮れない。上院議長の法相時代に育てた連警の配下が、全上議の尻尾を握っているからだ。上程者とは猫の首に鈴をつける役である。
上院議長は二十六日、こともあろうに最大のライバルとされるヴィルジーリオ上議(ブラジル民主社会党=PSDB)へメモを送った。「ブラジルの政治モラルが死に瀕している」というのだ。上院議長にとって自由社会党(PSOL)は、無知な群衆を唆すモラルの殺し屋集団だという。
上院議長の狙いは、告発取り下げを阻止するPSDBを自分の懐に取り込み、低迷するPSDBの政界地図を塗り替えようという作戦らしい。上院議長が活を入れれば、PSDBは蘇生するという。モラルの殺し屋集団とは政界に暗躍する地下組織で、不正資産の蓄財経路を調べている。