2007年6月30日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】北東部地方が今、目ざましい発展を遂げて内外の注目を集めている。工業や商業が国内平均よりも成長したことで、既存の企業はもとより新規の進出を計画するところが増えている。これに加えて常夏のパラダイスと言われる海岸リゾート地区の観光作業も止まることを知らず発展している。これまでは北東部は貧困の代名詞で、ブラジル経済のお荷物的存在だった。この汚名を返上して今後の成長のダークホースにおどり出た。その実状にスポットを当ててみた。
ブラジル地理統計院(IBGE)の発表によると、北東部の昨年の工業生産上昇率は三・三%となり、国内平均の二・八%を上回った。小売商も六・二%の成長を見せ、観光産業と合わせて目玉となっている。
北東部地方は過去には、開発指数の低さで知られたが、ここ数年は優良投資地方として注目を浴びている。同地方は現在総人口の二七・六%に相当する五〇三〇万人の人口を占め、国内第二位の密集地帯になっているが、これまでは低所得層が大部分を占めた。
それが社会福祉とくに貧困家族手当(ボルサ・ファミリア)給付の恩恵で所得が増加し、購買力が上昇した。この消費経済の伸長が経済成長の引き金となった。
これを受けて、ブラジル南部の企業に限らず海外からも投資の注目の的となった。昨年の同地方への新規投資は三二億ドルに達した。このうちの一〇・三%は化学部門と観光産業だった。また五六%は新工場設立のためで、五一・五%はバイア州に集中した。
ブラジル・フォードは「北東部はさらに発展する余地がある」と言い切る。同社が二〇〇一年に国内第二工場をバイア州に新設すると発表した際は、誰もが疑問を投げかけた。現在ではこのカマサリ工場は世界同グループの工場の中でも有数の近代設備を有し、八〇秒毎に一台の車を生産している。このうち四〇%をメキシコやアルゼンチン向けに輸出している。
繊維および製靴業界は逸早く進出を決めたことで業績を順調に伸ばし、南部の不況とは対象的となっている。これを前例として食料、飲料、衛生用品業界も路線を敷くべくこぞって進出している。
IBGEによると、同地方の市場はGDPの一四・一%相当の二四八四億レアルとなっており、進出企業は二〇〇〇年から〇四年の間に三四%の増加となった。
社会福祉事業とくに貧困家族手当(ボルサ・ファミリア)で経済的にゆとりが出来たことで購買力が上がっている。小売業界でもそれを感じ取っており、スーパーのウォルマートは今年十九店を新設する予定、昨年は全国で十四店を新設したうち、北東部は半分の七店を占めた。ほかのスーパー大手も右ならえの傾向を示している。
金融業界も遅れじと動いている。現在ではすべての市でサービス業が整っている。中銀によると、三二市のみで銀行支店がないものの、代行業務はしているという。二〇〇〇年には八二二市で銀行業務がなされていなかった。
農業部門ではサンフランシスコ川流域の果物栽培が国内および輸出市場を制し、年間五億レアルの収益となっている。現在一二万ヘクタールがかんがいされているが、さらに二五万ヘクタールが予定され、投資家が注目している。
北東部の魅力は何といっても常夏のパラダイス(楽園)だ。行楽客は年々増加の一途をたどっている。セアラ州を例に挙げると、例年二〇〇万人を超える観光客が、五七三キロに及ぶ海岸を訪れる、このうち一三%が外国人で、単に観光にとどまらず、リゾート地の購買やホテルへの投資などの商談が活発化している。