2007年6月30日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】麻薬の常習者が過去数年間、世界的に減少傾向をたどっている中で、ブラジルはそれに逆行する形で増加している。国連が二十七日に報告書を発表したもので、ブラジルの麻薬(コカイン)患者人口は二〇〇一年に全人口の〇・四%から〇五年には〇・七%へと増加した。世界では一四〇〇万人を数え、全人口の〇・三%だった。
ブラジルの増加によりラテン・アメリカ諸国の比率も上昇、この期間に一度は麻薬を口にしたことがあるとしたのが総人口の二・三%から二・九%に増加した。反面コカインの生産は二〇〇五年から二〇〇六年の一年間で二%の減産となった。コカの作付面積はコロンビアで九%減少したものの、ボリビアで八%、ペルーで七%増加した。
ブラジルでは大麻の使用が最も増加、〇一年の人口の一%から〇五年には二・六%となった。世界では〇四年の一六万二〇〇〇人から、〇五年は一五万九〇〇〇人へと減少した。国内で増加が顕著なのが南部と南東部で、これに対して北部と北東部は減少傾向にある。
ブラジルでの麻薬増加の背景には、ブラジルが国際ルートの窓口になったことが挙げられている。これまではコロンビアなどの麻薬王国は自国から欧米に向けてのルートを確立していたが、取締りが厳しくなったことでブラジル経由に切り換えた。これによりブラジル国内に麻薬がはんらんし、容易に入手できるようになったのが麻薬患者の増加の原因となっている。
国連の報告書ではさらに、麻薬産業は年間三二〇〇億ドルに達し、減少傾向とはいえ世界で二五〇〇万人が依存症になっていると指摘している。これにより二〇万人が年々死亡している。
タバコによる死亡が五〇〇万人で、それに及ばないものの懸念材料となっている、麻薬常習者は最近中国で急増しているものの、従来からトップの座を維持しているヨーロッパとアメリカが依然として消費大国となっている。