2007年7月3日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】国連は一日、過去十五年間に発展途上国の炭酸ガス排出量が倍増して先進国と同水準に達し、ブラジルなどラテン・アメリカの森林伐採が原因のひとつであるとする報告書を発表した。近年は森林伐採の阻止に努力を払っているものの、緑地帯の確保目標には達していないという。途上国の森林地帯は一九九〇年に五〇%あったのが現在は四六%へと減り、主な原因は耕地の拡張とされる。世界単位で見ると森林地帯は同期間に三一%から三〇%へと減少した。
ブラジルなどラテン・アメリカの貧困者数の割合は二〇〇〇年から〇四年にかけて一〇・三%から八・七%に低下したが、二〇一五年までに多少の経済発展は見込まれるものの所得格差がさらに広がり、貧困者層の半減が不可能であると国連は予測している。
また社会格差が増大する地域では、環境整備も進展しない。ラテン・アメリカ諸国が排出する炭酸ガスは一九九〇年に一一億トンであったのが、現在は一四億トンへ増えた。炭酸ガスの一人当たり排出量は先進国に比して途上国は少ないが、いまや全員が削減に協力すべきだと国連が呼びかけた。
国連が二〇〇〇年に提唱した八つの地球温暖化防止目標は、二〇一五年までの目標達成が困難な見通しになったと発表した。途上国の炭酸ガス排出量が、六九億トンから一二四億トンへとほぼ倍増した。先進国も、九七億トンから一二五億トンに増えている。
七月で目標の二〇一五年までの半分の期間が経過した。各国は環境悪化防止に続き貧困者数の半減、飢餓者半減、就学率の上昇、医療サービスの向上に努力したが、一部を除き多くは資金難などの理由により目標に達しなかった。
地球温暖化の影響は、現実の問題として肌身に感じる事態に至った。排気ガス削減を先進国の問題として途上国が腕組し傍観しているときではないと、国連が警告した。六月に開催されたG―8サミットでは、特別招待を受けたブラジルなど途上国代表が、経済成長の妨げだと上限目標の設定を拒否した。
インド代表が歴史的認識を考慮に入れずに、一律削減は片手落ちと糾弾した。中国代表は、国民一人当たりの炭酸ガス排出量は軽微であると問題にしなかった。しかし、中国の排出量は米国に並ぶ水準である。
ブラジルや中国、インド、南アフリカなど途上代表国は、経済発展の妨害だけでなく、先進国の誤った発展の轍を踏まぬよう呼びかけた。途上国といえども、排気ガス削減の技術開発があって然るべきという。炭酸ガス最大の元凶は、エネルギー生産に使われる石油燃料とされる。
他に国連報告は一日当たりの所得が一ドル以下の労働者が、二〇〇〇年から〇四年までに一二億五〇〇〇万人から九億八〇〇〇万に減ったという。特に中国とインドが顕著である。アフリカでも、四六・八%から四一・一%へと減少。西アジアでは倍増した。
ブラジルなどラテン・アメリカの貧困者所得は、国民総資産の二・八%から二・七%に減った。一方ブドウ糖の点滴は七二%に達し、途上国平均の二八%を遥かに上回った。途上国の住民は半分が水道や水洗便所がない。三人に一人がスラム街に等しい住宅に住んでいるという。