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第4回全ブラジル太鼓選手権=優勝はイビウナ「竜舞太鼓」=全伯から33チーム4百人=塩見日本太鼓連盟理事長も来伯=終日満場の大にぎわい

2007年7月3日付け

 第四回全ブラジル太鼓選手権大会(ブラジル太鼓協会主催=矢野ペドロ会長)が、一日、文協大講堂で開催された。サンパウロ百周年式典の一千人太鼓を来年に控えた今年は全伯三十三団体から四百人の打ち手が参加。鮮やかな色の衣装に身を包み、一所懸命に演奏する出場者、横断幕やボンボンを用意して大声援を送る応援団で、会場は一日中真剣かつ、にぎやかな熱気に包まれて大盛況を見せた。熱演の結果、ジュニア部門ではイビウナの「龍舞太鼓」が優勝、日本で開かれる太鼓ジュニアコンクールの切符を勝ち取った。リブレ部門ではロンドリーナの「一心太鼓」が優勝を飾った。
 当日はサロン、廊下に立ち見の来場者があふれ、通路の床に座り込んで舞台に見入る観客もあるなど、千二百人収容の会場が超満員になる盛況ぶり。大会にあわせ、(財)日本太鼓連盟の塩見和子理事長、太鼓集団「天邪鬼」の渡辺洋一指導者ら日本からも太鼓関係者が来伯した。
 今年はジュニア部門に十四、リブレ部門に十四、マスター部門に二、スペシャル部門に三チームがそれぞれ出場、約四百人の打ち手が講堂に参集した。各地からの応援団がバスを貸しきって訪れ、会場を埋めた。
 大会に先立ち、国歌斉唱、先没者への黙祷、審査事項の説明が行われ、チサ・カワカミさん(一心太鼓)、大塚アリーニさん(スザノ光嵐太鼓)が日ポ両語での選手宣誓した。
 各出場チームが舞台に登場するたびに、会場は拍手と大声援で包まれ、横断幕や大きなプラッカ、ボンボンを手に、それぞれのチームの応援団が総立ちでエールを送る。一転、演奏が始まると、太鼓の音のみが講堂に響き渡り、観客らは懸命に演奏する出場者らの舞台に釘付けになっていた。
 「太鼓を始めたことで、日系という自分のルーツに自信を持ち出している」と、イツベラーバから二人の息子が大会に出場しているシルヴィマル・ジョセ・ダ・シルバさん(45)。「私たちの世代が忘れてしまった日本文化を子供たちが受け継いでくれる」と妻のへジーナさんも嬉しそうに笑った。「大会前は勉強も家族も全て忘れて、太鼓だけよ」。祖母も付き添い、家族で応援に駆けつけた。
 午前中にジュニア部門を終え、昼食を挟んで、公式の開会式。塩見理事長、渡辺指導者など日本の太鼓関係者、松尾治県連会長、ウィリアン・ウー連邦議員らが列席した。塩見理事長は「『太鼓道』とは打ち手の生活そのものをいう。技術だけでなく礼儀、あいさつ、片付けなどのマナーなども入ります」と、太鼓の奥深さを説明した。
 午後からはリブレ部門、マスター部門、スペシャル部門が行われ、会場内は一層の来場者で賑わいを見せた。
 閉会式前には、会場が一帯となっての応援合戦。割れんばかりの声援がいたるところでおこり、文協の講堂内を右から左へ、左から右へと、次々にウェーブが送られた。
 今年のジュニア部門優勝チームは、イビウナの「龍舞太鼓」。オレンジ色の法被に、黒い袴を合わせ、鈴を取り入れて、オリジナル曲の「大自然」を演奏した。結果発表で賞状とトロフィー、賞品の桶胴太鼓が手渡され、メンバーのタニマル・ハルミさん(14)は「予想もしてなかった。本当にうれしい」と、涙をうかべて感激を語った。同チームは、来年三月に日本で行われる第十回日本太鼓ジュニアコンクールに特別出場する。
 審査委員長をつとめた渡辺指導員は「ブラジルの太鼓は上手くなり、次のステップを見る時がきている。大会は打つ速さを競うものではない。人に見せるため打つのではなく、純粋な気持ちで太鼓と向き合って、初心を思い出してほしい」と総評。塩見理事長は「他のチームにもエールを送る、応援の賑やかさがよかった。温かい気持ちになりました」と大会の感想を話した。
 同大会では、審査員が定刻に集まらず開会時間がずれる、来賓の把握ができていないことによる紹介の遅れ、審査の終了前に閉会式が始まり、出場者らが三十分以上壇上で待たされるなど進行上の不手際も見られたが、終日満場の大盛り上がりを見せ、協会関係者らは安堵していた。