2007年7月4日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙三日】上院新倫理委員長のキンタニーリャ上議(ブラジル民主運動党=PMDB)は六日、カリェイロス上院議長(PMDB)の養育費疑惑の審理要請書を、手続き上の不備として上院執行部へ返送した。同委員長は倫理委員会の討議に諮ることなく、議長派の法制委員会と総弁護委員会の承認で倫理不問とし、同議長にかかわる疑惑は取り下げまたは上程不要となる公算が大きくなった。トゥーマ監査委員長(民主党=DEM)は、同件で政治工作を謀ったキンタニーリャ委員長の解任を求めた。
カリェイロス上院議長の陣頭指揮で上院規定のアヤを突いた工作が効を奏し、養育費の立替疑惑は倫理委員会で不問とされ、上院執行部で却下される公算が大きくなった。執行部員のヴィアナ上議(労働者党=PT)は三日、上院議長が部長を務める執行部会議の召集を行った。
自由社会党(PSOL)が提出した上院議長の政治倫理抵触に関する審理要請は、同議長の指導でキンタニーリャ新倫理委員長が告発手続きに対し上院執行部へ無効申請を行った。また新倫理委員長に対しても公共工事の予算交付で数々の不正告発があり、倫理委員長に相応しくないと解任要請の動きがある。
PSOLの審理要請書の不備とは、執行部を通さず直接倫理委員会へ提出したこと。上院議長の抗弁に対する反論の証拠書類が添付されなかったこと。連邦警察の調書は最高裁の許可を得ずに取られたので法的効力がないこと。立件された場合の罰則が明記されていないことなど。
上院総弁護委員会が作成した意見書は、上院議長配下の人間たちが書いたもの。意見書はPSOLの要請を一方的に無効とする作為的内容である。PSOLの要請書が執行部を通されなかったのは、上院議長の推薦で就任した執行部事務局長が故意に策を講じたのだ。上院は、カリェイロス議長の伏魔殿らしい。
議長陣営の政治工作で劣勢挽回を期する野党は、憲法・法務委員会(CCJ)や上院本会議、最高裁へ手を打ち、上院議長の休職と倫理院長の解任を訴える考え。第一弾は三日、倫理委員会に不問とした倫理審理の復活要請。それが駄目なら、CCJへ提訴。続いて本会議での審議。最後の手段は最高裁である。
キンタニーリャ委員長の汚職告発にも、攻撃を開始する。検察庁は二〇〇二年、トカンチンス州の公共工事で二〇〇万レアルに上る公金横領に同上議が関与したと告発した。
倫理委員会に諮らず倫理委員長が不問としたことで、倫理委員は虚仮にされたと憤慨している。これは上院議長が、じゅうたんを引っ張って倫理委員会を翻弄したのだ。DEMは上院議長一派の工作を、北東部の慣習を首都へ持ち込んだ野蛮人の傍若無人な政治手法であると糾弾した。
倫理委員長が倫理委員会にひとことも相談せず一人で独断先行し、露骨な政治工作で我田引水を謀ったのはブラジル議会史上で初めてのこと。これにはPT内でも反発がある。倫理委員長は上院議長の差し金で動き、汚職関与では最高裁のブラックリスト中の人物だから委員長としての資格が問われるという。