2007年7月4日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙六月十一日】地球温暖化について少しでも関心があるなら、気象の変化が世界へもたらす問題は、エネルギーであることに気づくに違いない。国際決済銀行(BIS)は、エタノールのインフレ・インパクトを懸念すると警告した。
サトウキビとトウモロコシの需要が急増し、食用作物の栽培が疎かにならないかという。ブラジルでは食糧を栽培する面積は十分あり、価格さえ引き合えば食糧危機の心配はないと関係者は一笑に伏す。
EUはエタノールを輸入する際、産地証明を義務付ける。アマゾン熱帯雨林を伐採したか、パンタナルを干拓してサトウキビを栽培したかを調べる。バルボーザ元駐米大使は、国際社会が納得する産地規制を設けるよう訴えている。
すでにサトウキビの進出で各地の地価が高騰した。サトウキビの収穫労働者は、日給二四レアルで一五トンがノルマだ。山鎌による切り傷、打ち傷は絶えない。過酷な労働条件が海外で問題になった。条件が過酷でも拒めば、機械化による解雇が待っている。労働者に選択肢はない。
ブラジルのエネルギー供給はどうなっているか。電力消費の三〇%削減は必要なのか。マデイラ河の水力発電所建設が許可されないなら、原子力発電だと大統領は簡単にいうが、原発はそう簡単ではない。原発は高価なものだがブラジルは建設する財力があるのか。排気ガスの処理技術は開発されたか。
原発についてマスコミ報道には接するが、安全性について技術的な深い論議を聞いたことがない。国民は原発について知りたがっている。エタノールについても同様だ。ブラジルは単一農産物の危険性を十分知っているはずだ。
一九八九年に起きたようなエタノール危機をいかに回避するか。際限もなくブラジルをサトウキビで埋め尽くしたら、環境面と衛生面で何が起きるかを国民は知りたがっている。化学肥料や活性窒素の影響が懸念されている。
ブラジル中のサトウキビの葉を焼くと、四万六〇〇〇トンの活性窒素を空中に放出する。活性窒素は河川を汚染し、死の河にする。大量のクリーン・エネルギーを生産するために、大量の汚染物質を隠さねばならない。輸出を伸ばすために、どんな犠牲をブラジルが払うのか、机の上に並べて見せて欲しい。