2007年7月6日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】ジョアキン・ロリス上議(ブラジル民主運動党=PMDB)は四日、GOL航空のコンスタンチーノ氏から小切手二二三万レアルを供与されたという、収賄疑惑による議員権はく奪を避けるために辞任した。同上議の辞任意向に先立ち上院執行部は、カリェイロス上院議長の采配で倫理抵触を審理し、弁明の機会を与えるように手配をした。しかし、上院執行部が倫理委員会へ提出した審理要請書の手交が遅れたため、同上議の辞任撤回に間に合わなかった。七十歳の同上議が議員権をはく奪されると、二〇二三年まで立候補はできなくなる。
同上議の収賄疑惑は、連邦警察による盗聴で浮上した。真相解明の途中であったが、マスコミの攻勢とライバルの画策で釈明の機会を与えられず、辞任に追い込まれたと同上議は述懐した。同上議は四日朝、辞表を懐に上院執行部会議へ顔を出したが、辞任の意向はなかった。同時平行で行われた監査会議から事態の急変を知らされた。
同上議の辞任願いは四日午後九時十五分、わずか四人の上議が出席した上院本会議で受理された。同上議の弁明によれば、牧牛の精子を購入するため三〇万レアルを必要としていた、ブラジリア銀行のモウラ頭取の仲介でGOL航空のコンスタンチーノ氏を紹介され、小切手を受け取った。
小切手は額面二二三万レアル。うち三〇万レアルだけ受取り、残り一九三万レアルは返還したという。しかし、誰に返還したのかは不明である。残金のありかが判明しないと全額が同上議の責任になり、辞任しても救われない。
トゥーマ上院監査委員長は、同上議の弁明が説明不十分だと疑問を呈した。なぜ全額受け取らず、三〇万だけなのか。なぜ一九三万と三〇万を分けるため第三者の家へ行ったのか。なぜ金融管理委員会の網を潜る画策をしたのか。
倫理委員会で審理要請が受理されると、辞任はできない。告発が立件され議員権のはく奪となると、同上議は高齢のため政治生命を絶たれる。倫理委員会の受理前に辞任すれば、二〇一〇年の上議選で返り咲きができる計算だ。
同上議は一九六一年、故郷のゴイアス州ルジアニア市議を振り出しに政界入りをした。神様が再々登場する同上議の演説は、地元で評判がよい。サルネイ元大統領の指名で一九八八年に首都連邦直轄区の知事に就任。四期務めた後、二〇〇六年に上院入りした。
同上議の辞任により第一次席のアルジェーロ(ブラジル労働党=PTB)副党首が昇格するはずだが、同氏もロリス上議と同じ連警のアクアレーラ作戦の網に引っ掛かり、疑惑の渦中にある。同上議は次席にも辞任を薦めた。
上議辞任により議員権はく奪を免れ、次期選挙で返り咲いた政界の大物は珍しくない。二〇〇一年電子投票機侵入で責任を問われたアントニオ・C・マガリャンエス上議とロベルト・アルーダ連邦直轄区知事(当時は上議)だ。ジャデル・バルバーリョ下議(当時は上議)は、パラー州銀の公金横領疑惑で党から辞任勧告を受けた。