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井上祐見ショー=市長も来場=ピラール、初開催に沸く

2007年7月6日付け

 【ピラール・ド・スール】日本の歌手、井上祐見さんのショー(ニッケイ新聞、蒼鳳、ダイドーエンタープライズ協賛)が六月三十日、当地文協会館で開催された。会場には当町や近辺の町から多くの人が訪れ、遠くは百五十キロ以上離れたボツカツから足を運んだ人もいた。
 南米公演は今年で九年目、当地公演が今年の初回。日本の歌手を迎えるのは初めてとあって、会場からは期待と興奮が感じられ、会館の運動場の入口には『歓迎井上祐見さん』の幕が張られていた。
 午後三時に開演した。城島将男文協会長からあいさつ、続いてルイス・エンリッケ市長からは「この町に日本から歌手を迎えることができて非常に光栄です。日本文化はもはや当市だけでなく、ブラジル国の文化の一部を成しています」と歓迎のことばがあった。
 第一部は「観客と一体となって楽しむ」というコンセプト。一曲目が始まり祐見さんが現れると、一気に拍手と歓声が上がった。
 一曲目の途中、早くも観客の一人が祐見さんの隣にかけより、記念撮影を行うハプニングもあったが、祐見さんは歌を中断することなく、驚きながらも笑顔で撮影に応じた。始まったばかりでやや構えていた感もあった会場は、この様子を見て大笑い。同時に『井上祐見』という歌手を大いに理解することができる出来事でもあった。
 曲間に行われた中嶋マネージャーと祐見さんの掛け合いは、会場を大きな笑いで包んだ。そのほとんどがアドリブということだったが、そのやり取りは絶妙で長年のお互いへの理解が成せるものであった。
 その後も観客を舞台に上げて共に歌ったり、コントのような掛け合いがあったりと笑い声が絶えず、素晴らしい雰囲気のまま第一部は終了した。
 ハプニング続出でコロニアならでは公演であったが、中嶋マネージャーは「ここはものすごくノリが良くてとても楽しい。おかげでついつい話が長くなってしまう。それに皆面白い人ばかりで、九年ブラジル公演をやってきて、いい意味でこんなに暴れたのは初めて」と予想以上の盛り上がりに驚き、やや困った中にも大きな喜びの表情を見せた。
 第二部ではうって変わって、祐見さんは『根来恋歌』『日はまた昇る』などの曲を熱唱し、会場はじっくりとその歌声を聴き入った。特に観客の心をうったのは、『sou japonesa』。コロニアではすでに大好評の曲だが、年配の人達の中には歌を聴き、昔の事を思い出したのか涙を流す姿も見られた。
 プログラムが終わるとすぐアンコールの声がまき起こり、再び現れた祐見さんに歓声。最後は会場にいる人と共に歌い、このショーの最後を締めくくった。
 ショーのあと、会場出口付近で記念撮影やサインを求める人達にもみくちゃにされながらも一人一人に笑顔で応じていた。『あなたに会えてよかった…』。一度切りの出会いかもしれない今を大切にしたいという祐見さんの気持ちは確実に観客に伝わったようだ。