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交番制度もっと知って=JICAが初の見学ツアー=アリアンサ生徒らが現場訪問

2007年7月6日付け

 JICA(国際協力機構)主催の交番制度見学ツアーが三十日、サンパウロ市内で実施された。同機構がサンパウロ州軍警と協力して進めているモデル交番設置プロジェクトを一般に紹介するもので、今回が初めての開催。日伯文化連盟(アリアンサ、Alianca Cultural Brasil-Japao)の上級者コースの生徒、教員、その他の関係者の約三十五人が参加、軍警本部や市内二カ所のモデル交番などを訪れた。
 まずは、サンパウロ州軍警察本部でパレット・テネンテ中尉から今回の「地域警察活動」のプログラムの概要や活動、モデル交番の意義、現在の状況などの説明が行われた。
 続いて、同プログラムで導入されたモデル交番の実状を知るために、プラッサ・ロータリー交番(Praca Rotary sem numero、ビラ・ブアルケ区)とジャルジン・ラニエリ交番(Estrada M’Boi Mirim 5780、ジャルジン・ラニエリ区)を訪問。
 この二つの交番は二〇〇五年に最初のモデル交番として八カ所設置したうちの二カ所で、日本の交番制度導入による地域の安全向上を目標としている。
 プラッサ・ロータリー交番ではジョルジ軍曹が同交番の施設や状況について話をした。同交番は公園内の一角に位置し、公園の中には児童専用の図書館やバスケットボールができるような施設があり、子供たちの楽しそうな声が響いていた。
 同軍曹は「公園内では以前、喧嘩や浮浪者が多くて様々な問題が起こっていた。でも現在はそういうことはほとんど起こらない」と現在の状況に手応えを感じながら話した。
 続いて、ジャルジン・ラニエリ交番でもヴィエイラ二等軍曹が同交番の施設や状況について話した。
 同交番は周辺にファベーラが広がる地域でモデル交番の中で最も危険なところだが、現在では地域のサッカーチームの指導やイベントへの参加など交流を進めている。
 見学終了後はアリアンサに戻り、昼食を交えながら今回の交番制度について意見を交換。
 生徒からの意見の多くには「このプロジェクトを全く知らなかった」、「警察官がすごく楽しそうに地域住民と接している」などの驚きや感心の意見が多く聞かされた。
 同プロジェクトに関わっているJICAの石井孝長期専門家は「少しでも多くの人が知ることになれば、警察官のやる気も上がるし、地域の安全にも繋がる」と話し、さらなる広報活動に意欲を見せた。