2007年7月7日付け
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙六日】上院倫理委員会は五日、カリェイロス上院議長(ブラジル民主運動党=PMDB)が養育費の出所とする資産が二〇〇二年から〇六年までの間に七三%も急増し、一七〇万レアルに達した点について調査することを決定した。連邦警察は、レナンゲートの上程者に指名されたカザグランデ上議(ブラジル社会党=PSB)とセラノ上議(ブラジル民主社会党=PSDB)へ、上院議長に〇四年の牛の売買書類提出で圧力をかけるよう要請した。それがないと同議長がいう一九〇万レアルの牛売却代金は立証できないという。
上院倫理委員会はようやく、レナンゲートの本格捜査に入る構えを見せた。カリェイロス上院議長の資産内容の徹底解明と実娘養育費の出所とされる牛売却代金の一九〇万レアルの実体にメスを入れるようだ。
上院倫理委員会は〇二年から〇六年までの、メンデス・ジュニオル建設会社の工事状況と予算交付について背後関係を解明する。上院監査員も、建設会社による同議長の経費立替の可能性を調べる。同期間に議長の資産は、九八万四〇〇〇レアルから一七〇万レアルへと急増している。
捜査は疑惑段階なので、同議長に証拠書類の提示義務はない。連警は同書類の提示を求めたが、上院執行部の許可が必要だから条件付き範囲に限る。上程者も同書類を求めているが、上院議長が応じればの話であり、上程期間は四十五日以内と限定される。
同議長が公開した牛売却の小切手と銀行の預金証明では、売上げ代金一九〇万レアルの〇四年分だけで約一〇万レアル足りない。同議長の会計士は、実娘養育費の支払前に牛は売却されたので、売上げ伝票を全部提示する義務はないといっている。
国税庁は、同議長に脱税の疑惑があるとして内容を調査する意向である。国税庁は牛売却と所得税申告、クレジット・カード、金融取引暫定納付金(小切手税=CPMF)を照合する。同議長所有の農業法人と農地税(ITR)、固定資産売買(Dimob)も調べる。これらの調査については、国税庁のデータだけでも概要がつかめる。
しかし、上院議長は上院本会議での釈明で問題は解決するとみている。倫理委員会の議員権はく奪可否も、同議長の手中にあると豪語する。要は上院内議長派のてこ入れ次第という。
議長の休職が表決に付される場合は、PMDBが議長支援票を投じることで根回しができているようだ。倫理委員会で議員権はく奪を表決する場合は、無記名の秘密投票であり、造反が起こり得る。しかし、上議数はわずかであり、誰が何を投じたかは分かる。
上院議長の運命は、倫理委員会の判断にかかるといえそうだ。倫理委員会でもし議員権はく奪が審議されるなら、上院本会議でも助からないと思われる。それは、政府もPMDBも覚悟をしているらしい。議長は往生際が悪く、倫理委員会がダメなら憲政委員会と頑張っている。
サンパウロ州教区のドン・オジロ・シェレル大主教は五日、良識の観点から真相解明の間、カリェイロス上院議長の休職が望ましいと、声明を発表した。心配なのは国民の間に政治不信が定着し、権限乱用や専横主義に道を開くことだと述べた。