2007年7月11日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙六月三日】マデイラ川のサントアントニオとジラウ両水力発電所の建設許可発行が再度、延期になった。これは環境保護局(IBAMA)の怠慢というよりサボといえそうだ。同時に、政府の優柔不断と無気力さを物語っている。
国税庁は予算交付を保証し、中央銀行は通貨政策で協力を約しているのに、だ。これでは、政府が機に臨んで成すべきを知らないといえる。大統領府と環境省の行き違いは、己の特権に溺れることになる。
計画立案から現在までの長時間、同水力発電所プロジェクトは忘れられていた。エネルギー危機と聞いて大統領府が慌てた怠慢の産物である。それで融通性のないIBAMAを説き伏せようとした。怠慢と融通性がないことでは、環境保護局もエネルギー関係機関も同罪である。
エネルギー危機が目前に迫って双方の責任のなすり合いが始まったのは、極端で幼稚である。このプロジェクトはルーラ第一期政権の四年間、棚でほこりをかぶっていた。決断も許可もできない両省庁の体たらくは、政府の無能ぶりをさらけ出したといえる。
惰眠から目覚めてようやく動き出したが、ことが簡単にできると思ったらしい。この成果を二〇一〇年の大統領選挙で、宣伝材料に使おうと思っているのだから聞いて呆れる。今度はIBAMAに圧力をかけて遮二無二、許可を出させようという戦法である。
ルーラ大統領は環境専門家のヒヨコのように、IBAMAに対し意見を述べた。経済活性化計画(PAC)という国策を前に時間の無駄使いをして、下らないナマズの犠牲にするかと恫喝した。さらにIBAMAは、再調査を行うのでさらに数年の時間をくれという二二一頁からなる報告書を大統領に提出した。
マデイラ川は、ボリビアやペルーを流れるので、ブラジルの一存で決められないというのだ。IBAMAはすることが鈍くて、ブラジルの環境保護には役に立たない。プロジェクトは前政権から立案されていたが、遅れに遅れてまだ時間をくれという。
国策とは、国運を賭けた大計画である。生産部門がなぜ環境問題で頓挫するのか。技術的には万事円満解決は困難である。何を基準に勝敗を決めるかといえば、国民の福祉ではないか。大統領府も環境省も、理性を欠いている。