2007年7月12日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十一日】連邦警察は十日、ペトロブラス石油公団のプラットホーム保全入札での不正落札を二年間水底作戦により内偵し、十八人の逮捕令状を発行、十三人を逮捕した。うち三人は同公団幹部である。告発された者は二十六人。五人は同公団幹部、二人は環境保護院リオデジャネイロ支部職員、九人は関係業者。不正システムを仕切ったのはアングラポート・オフショア社で、公団職員を買収し、海上プラットホームの保全工事を違法に落札していた。同システムの背後で暗躍したNGOの存在も突き止めた。
不正システムの胴元アングラポート・オフショア社は、関係業者へ情報を提供し、口銭を受け取っていた。同社は保全入札の始まった二〇〇三年、保全入札第一号のP―22を落札、続いてP―10、P―14なども一億五〇〇〇万レアルで落札した。同社は、不正落札目的のために設立された会社といえる。
入札企業は、同公団入札課の入札案内書送付によってイエザ造船所とマウアー造船所など三社に限定された。同社は、三造船所へ入札の方法と内容を提示し、談合システムを立ち上げた。他に幽霊企業六社も立ち上げ、架空の工事契約書や架空伝票を発行し、保全費用を受け取った。
保全費用はアングラポートのステレア社長が受け取り、関係業者へ分配した。発覚しただけで一億五〇〇〇万レアル、幽霊企業の受取り分や水増し分も含めた損害総額を検察庁が捜査中である。同公団総裁や監査課は、不正の事実を知りながら泳がせたようだ。関係職員は更迭された。
同社は、環境保護院の許可書を不正取得し、環境保護の義務項目など無視した。同社は鉄道構内の地所を正規の手続きを経ずに不正借用した。また同社の業務内容について検閲を受けず、有資格企業として平然と名を連ねていた。
検察庁と連警は、不正資金を統括したルイ・カスタニェイラ容疑者が二〇〇六年十月に、サンターナ下議(労働者党=PT)に五万レアルの選挙資金を用立てたことを水底作戦で突き止めた。同下議は選挙裁へ同容疑者の献金を申告したが、関係を否定した。
サンターナ下議が、献金受領は選挙法の許容範囲であり、本人については全く関知しないという。しかし、同下議の側近が、同容疑者の間で仲介の労をとった。連警は同下議の家宅捜査を行い、余罪を追及する。同容疑者が管理した幽霊企業やラランジャ(名義賃貸人)を中継した資金の行き先を調べる。
同容疑者はリオデジャネイロ州ロジーニャ前知事の時代、NGOを通じて多額の政府資金を不正取得した一人である。NGOとアングラポートを結びつけたのも、同容疑者といえる。同NGOを窓口に同容疑者は、アングラポートから得た不正資金を政治家へばら撒いたらしい。
逮捕者の中には、女優デボラ・セッコの父親リカルド・セッコも同容疑者の共犯者として逮捕された。娘の名声をエサにロジーニャ知事へ近づき、NGOを通じて政府の公的資金をせしめたようだ。同NGOは、ガロチーニョ大統領候補の選挙費用捻出で隠れみのとなったようだ。