2007年7月13日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】ルーラ大統領は十一日、予算基本法(LDO)の表決に際し、議事に支障を来たす可能性があるとしてカリェイロス上院議長に欠席を要請、議長自身も承服した。議長留任に抗議する野党が審議ボイコットによる政治空白を試みたことで、大統領府は重要法案の国会承認を優先し、議長への圧力回避を選んだ。上院議長の策が裏目に出ることで、大統領府も同議長の政治生命に疑問を持ち始めた。大統領は、同議長支持の意向であるものの、国会内に盛り上がりつつある拒絶反応に対決するのは上策でないと進言した。
カリェイロス上院議長は、予算基本法の表決に支障を来たすとして欠席を余儀なくされた。同議長は十一日、同法審議の議事から一時後退させられ、ロドリゲス副議長(ブラジル民主社会党=PSDB)が議事を仕切った。これで同法可決はことなきを得た。
しかし、上院議長を口説き一時後退を強いるのに、政府は閣僚や主な国会議員を動員した。大統領自身も大統領府の中で一度、さらに国会内で審議の始まる前にもう一度、欠席を要請した。野党を始めマスコミは一斉攻撃を開始、由々しき事態だと認識した。
ギア憲政相は、テメルブラジル民主運動党(PMDB)党首と議会リーダーのムッシオ下議(ブラジル労働党=PTB)、ロゼアナ上議(PMDB)、ベルナルド予算管理相、ドゥルシ政務会長を自室に呼び、同議長の政治生命と、それに起因する数々の問題発生の可能性を報告した。
大統領は同議長に電話で状況を杓子定規に説明、もはや重要法案の審議で障害になっていることを間接的に伝えた。同議長は、野党が指揮を採る上院議長降ろしオーケストラの犠牲者であることを強調し、次の犠牲者は本丸の大統領自身であると忠告した。
上院に始まった政治危機は、やがて大統領府の坂道を登ることになりそうだ。政府が起草した数々の重要法案を棚ざらしにする険悪な動きが、六月末からあった。大統領の側近は経済政策の執行で、同議長が妨げにならず、PMDBをも刺激せず、議長支援宣言も行わないよう進言した。
プラナウト宮では上院議長の運命が風前の灯火と見ているようだ。政府の関心は重要法案の通過であり、議長の末路ではない。議長が議長席に固執するなら、上院はドンチャン騒ぎで法案審議どころではなくなる。上院の火が下院へ類焼すると、ことは面倒だ。上下両院のカリェイロス追放劇に発展する可能性があると憲政相がいう。
カリェイロス上院議長は、無念の欠席で捨てゼリフを吐いた。「私を議長席から引きずり降ろす上議は、みんな地獄へ道連れにする」と。上院の良識とされる長老らは、告発者も告発された者も同じ次元の偽善者たちなのかと疑問を呈した。議長の辞任を求めているのは国民であり、議会ではないという見方である。
野党は上院議長が基本予算法の審議で議長席に座ったとき、拒絶と上院の尊厳喪失を表示する赤いカードを多数用意していた。議長の欠席でカードは不要となった。しかし、「汚職追放、レナン追放」の署名運動となった国民運動は、燎原の火として広がるのか。