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100周年近いから拍車がかかる?=日本人向けサービス=ホテルでも〃作戦〃=完ぺき望む「特殊な客」に対応

2007年7月14日付け

 朝食には白ご飯、味噌汁に、納豆、漬物、焼き魚、夜には無料でお茶漬けをサービス、レストランには寿司バーを常設――。日本人はお金を落とすからか、〃日本人気〃にあやかったのか、百周年を視野に入れてか。日本人向けのサービスを提供するホテルは続々増えつつある。「接客の時にね、『日本人は違う』という感覚が必要なの」と、サービス戦略のコツを力説するのは、宮田カチアさん(四世、39、笠戸丸移民の曾孫)。一九九九年から日本人向けサービスの担当を始め、現在はインテルコンチネンタル・ホテル・サンパウロの国際販売部長を務める。カチアさんは「日本人は完ぺきを望む」という。どう違うのだろうか。
 「ホテルの仕事はサービスです。サービスがよければ、お客さんは来てくれると思います」。カチアさんは、以前緑茶に関わる仕事をしていたために、毎年日本に足を運んでいた。
 「日本で感動するのは、サービスが徹底しているところ。本当に気分が良くなって嬉しかった」。九九年にシェラトン・ホテルに呼ばれて日本人向けサービスを始め、スリッパや浴衣の用意、日本式の朝食を出すサービスを作った。
 現職場では、〇二年から、日本語での対応、日本式の朝食、お茶漬け、寿司バーなど、接客内容の充実を図ってきた。
 「サービスをする側のブラジル人にとって難しいのは、『日本人は違う』という感覚を持つこと。お客様が考える前にスタッフが動かなければいけないのは当たり前だけど、日本のお客様は、日本的な感覚でサービスを期待する」。
 物の有無だけで計れないのがサービス。カチアさんは、注意点を列挙する。
 名刺は両手を添えて渡す、物は文字が読める向きに、スリッパは履ける向きにきれいに揃える、見送りは見えなくなるまで門前で頭を下げる。また、「エレベーターでは、お客様と荷物は別。アメリカ人だったら同じでも大丈夫なんだけど」。
 部屋割りも大変だ。「日本人は上司と部下で、階数を変えるでしょ。それも、(例えば、同じ会社の)前回の宿泊客と同じ部屋だと良くないし」。
 どの企業の、どの肩書きの客が、どの部屋に泊まっているのか、を把握し、日本人が来る前には、部屋のチェックは欠かさないという。
 インテルコンチネンタル・ホテルでは、〇二年に、年間約百二十人の日本人客を受け入れていたが、カチアさんが働き出して後の〇三年には、八百三十五人が、〇四年には千三百四二人が同ホテルを利用するようになった。〇五年には千九百四十五人、昨年は千五百四十三人。
 さらなるサービスの充実を図りたい、というカチアさんは、「私は少し口うるさいのよね。でも、きちっとしてるのが好きだから」。日本の新聞、近隣のイベント情報の提供など、実行に移していく日本人向けサービスを挙げて、「めんどくさい、ではなくて、これが私の仕事!」と、胸を張って笑顔で答えた。