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コラム 樹海

2007年7月15日付け

 日本のキャリア官僚は世界一と言われるほどに優秀らしい。超一流の大学に入って猛勉強し、難関の試験を突破しての霞ヶ関であり、確かに頭の切れは鋭い。警察官僚だと1年に20人ほどのキャリアを採用する。任官すると警部になり、30歳になるかならないうちに署長に就任し警視、警視正、警視監と進み警視総監や警察庁長官に進む▼法律をよく知っているし、行政能力も極めて高い。が、この頭脳明晰さが庶民軽視に通じる例も少なくない。霞ヶ関に陣取って国を動かし、税金を徴収し「予算」として道路や施設を建設もする。高位高官ともなれば、官僚を勇退し天下っての退職金が何億円かの高給が続く。こうした役人を取り巻くよくない環境が、高官らの感覚を鈍らせ不正や汚職に追いやるのではないか▼古くは福田赳夫元首相が大蔵省主計局長のときに昭電疑獄で逮捕されている。結局、無罪になったけれども、86年には加藤孝・労働事務次官がリクルート事件で逮捕され懲役2年の判決だったし、服部経治元運輸次官も汚職で有罪になっている。有名なのは、厚生省事務次官の岡光序治が六千万円かの収賄で懲役2年の実刑判決▼こんな悪しき前例を踏んだわけではあるまいが、年金記録紛失の問題を先送りしてきた厚労省歴代の次官と社会保険庁長官27人にボーナス一回分の自主返納を求めたところ、8人が拒否したそうだ。まあ―取る物は取っても遣るのは嫌だと言っても、法に違反はしない。しかし、あんな大事件を起こしているのだから―その責任を取るのは世の常識。と、思うのは薄給に泣く庶民の哀しさか。    (遯)