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伯産牛肉の輸入全面禁止を=EU各国で動き広まる=通商本部、伯に調査団派遣へ

2007年7月18日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】ヨーロッパでブラジル産牛肉の輸入をめぐり、全面禁止の動きが広まっている。火種となっているのが各国の議員で、十六日に行われた農業分科会で「緊急全面禁止」を多数決で決定した。
 しかし、決定権を有するEU(ヨーロッパ連合)通商本部はこれを否定し、ブラジル産牛肉が不当かつ非衛生であるとの確証が得られぬ限り、全面禁止には踏切らないとの態度を明らかにした。その上で分科会の決定を真しに受け止め、数カ月以内にブラジルに調査団を派遣することを表明した。
 分科会の決定はEU内でも右派といわれる英国、アイルランド、東欧諸国が急先峰となったもので、五月にブラジルを訪問し、現地調査を行っている。それによると、ブラジルの防疫設備は完全ではなく、全土に口啼疫が広まる懸念が多分にあると報告している。
 EU向けには二〇〇五年に口啼疫が発生して以来、サンパウロ、パラナ、マット・グロッソ・ド・スルの各州の牛肉は輸入禁止となっており、リオ・グランデ・ド・スル州が占めている。分科会では禁止されている州の牛肉がリオ・グランデ・ド・スル州に渡り、輸出されているとして全面禁止を求めたもの。
 これに対し通商本部スポークスマンは、分科会の決定は自国の畜産業界をバックとしたいわゆる族議員が、業界が提出した誤ったデータをもとに偏見満ちた判断を下していると指摘している。現に調査団(業界が資金提供)は肉牛の飼育場を訪問したとしているが、名前や場所を明らかにしていない上に、検疫機関と役所、加工場を訪れていないとして実態を把握していないと決めつけた。
 EUはブラジル産牛肉最大の輸出市場となっており、今年一月から六月まで全輸出二二億ドルの三分の一に相当する七億三二〇〇万ドルの実績となった。昨年同期対比五・七%増だった。数量は八六万八四〇〇トンで昨年比一五・四%増となった。昨年一年間の実績は一五億ドル。前出の族議員は、自国の畜産業界は値段で太刀打ちできず、倒産の憂き目に瀬していると嘆いている。