2007年7月18日付け
パラナ州都クリチーバ市に、百年祭で最大級となる百周年記念公園を造成する計画が昨年末から進んでいる。その中の池にはブラジルと日本の形をした島を作り、その目玉として沈没した笠戸丸から錨などを引き上げて展示する構想もあり、すでに伯日議員連盟とロシア政府が交渉に入った。実現すれば、次々にパラナ州で発表されている構想の中でも、特に注目される事業となりそうだ。
構想の中心になっているのはクリチーバ市。姉妹州県である兵庫県。州内主要都市がすべて同県都市と姉妹都市になっている深い関係もあり、近隣のサンジョセ・ド・ピニャイス市との境にあるクリチーバ市内の広大な土地を使うことになった。
七月二日から同市総務局長に就任し、内部からこのプロジェクトを支えている原ルイ清氏(州議は休職中)は、「五十二万平米もある。百周年で作られる公園の中でも最大級では」という。
川縁にある元砂取り場だがファベーラになりかかっていたため、住民を移動させて、市民公園にする話は以前からあった。「昨年十二月から運良く進んで現在のプランになった」と原局長は説明する。
巨大な池を作り、そこにブラジルの形をした島状の突起、日本の形をした島を造成し、日伯交流を象徴させる。さらに、船を浮かべて両側を行き来できるようにする計画。
陸続きのブラジル部分には、全面ガラス張りの近代的な外観を持つ日伯友好センター(約千平米)を建築し、その入り口部分に笠戸丸から引き上げる予定の錨、鐘、操舵輪などを設置する。パラナ松と扇子をモチーフにしたデザインになっている。市民一般の憩いの場として開放され、文化イベントが行われる。
総工費は約千万レアル(約六億五千七百万円)。六月末に同地を訪れたマルタ・スプリシー観光大臣が二百万レアルを同省の免税補助制度から援助することを申し出た。構想実現に深く参画するクリチーバ日伯文化福祉協会の山脇ジョルジ会長によれば、「すでに五百万レアル分ぐらいの予算の出所は決まっている」という。来年六月の兵庫県知事ら一行の来伯にあわせて「少なくとも定礎式ができる」という。
六月末に行われた州都最大の日系イベント「移民祭り」開会式で、ベット・リッシャ市長は公園建設に向けての意気込みを語ったほか、伯日議員連盟の高山ヒデカズ会長はロシア政府との交渉などブラジリアでの資金調達や外交的な動きを担当し、がっちりとスクラムを組んでいる。
四月中旬には山脇氏と共に原氏も兵庫県訪問団として訪日し、県庁と姫路市に計画案を提出している。