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WTO交渉決着に妥協案=コミッショナーが提示=伯外相「先進国の出方次第」

2007年7月19日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十八日】妥協の糸口が見つからないまま、こう着状態が続いている世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の収拾に向けて、WTOコミッショナーは十七日、新たな妥協案を提案した。
 ドーハ・ラウンドは年内の協定に向けて先月、ドイツのポツダムで主要四カ国(アメリカ、EU、インド、ブラジル)が予備会談を行ったが、物別れに終わっている。争点となっているのは、先進国側が開発途上国に対し、工業製品の市場開放を要求して輸入関税の引き下げを求めているのに対し、途上国側はEUの農産物輸入関税の引き下げと、アメリカの農業補助金の削減を求めている。つまり工業対農業の思惑が交錯している。
 今回の妥協案は途上国に対し六〇%以上の関税引き下げを要求している。ブラジルの場合は工業製品の平均関税率は現行で二九・八%となっているが、これを一二・五%から一三・八%まで引き下げるというもの。実質六五%以上の引き下げとなる。ブラジルはこれまで五〇%の引き下げを主張してきた。
 ほかの主要国では、アルゼンチンが現行の三〇・六%から一二・四%ないし一三・七%へ、インドは三九・三%から一五・九ないし一七・五%へ、メキシコは三四・九%から一三・四%ないし一四・九%となっている。先進国も対象となり、EUは現行の四%から二・一%ないし二・二%へ、アメリカは四%から一・九%ないし二%となっている。
 この見返りとして、EUは農業関税を六六%から七三%の範囲で引き下げる。これまでのEUの主張は六〇%だった。またアメリカの農業補助金は現行の上限枠の四九〇億から、一三〇億ドルないし一六四億ドルに引き下げる。アメリカはポツダム会談で二二五億ドルを提示、最終的に一七〇億ドルまで引き下げた。これに対しブラジル側は一二五億ドルを主張してきた。
 アモリン外相は、ドーハ・ラウンドは重要だとの認識を改めて強調した上で、妥協は先進国側の出方にかかっていると強調した。ポツダム会談の物別れは先進国(EU、アメリカ)が意のままに決定をあやつろうとしたもので、威圧的な態度には承服できないとの考えを示した。