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「口説き」の進化論=女性の方が脳細胞は精巧

2007年7月25日付け

 【ヴェージャ誌二〇一六号】エゴイズム(利己主義)は、愛する異性を一人占めにする愛他主義から発展したものらしい。セックスとは快感を二人で共有し、一つのものを分かち合うエゴイズムの一面といわれる。だから秀才バカは、物事の共有ができない独占欲の強い金持ちを嫌う。ところが女性は違い、秀才バカも金持ちも両方愛することができる。
 これはダーウィンの「種の起源」続編ともいうべきジェフリー・ミラー博士の人類起源説である。同博士は「選択する頭脳」を発表し、ブラジルで出版された。人類の進化を心理学とセックスの見地から考察し、ダーウィンが見落とした面の補足といえる。
 ブラジル人に尻尾が生えていた時代、男は気に入った女を選り好みした。女も同じように、男の人柄や一物の吟味をした。人類の進化は環境だけが原因ではなく、セックスの上手下手からモノの使い心地も原因の一つであったと、同博士は主張するのだ。
 雌孔雀は雄孔雀に求愛されると、イヤイヤもスキのうちといいながら逃げる。早く私とコトに及んで下さいと、いわんばかりだ。だから孔雀は、鳥類の中で最も美しいらしい。人類の進化とは、強者の生き方ではないか。いかにして異性の気を引くかが、人類進化の歴史といえそうだ。
 この現象を人間の脳細胞で見ると、女性のほうが男性よりも精巧にできている。ブラジル人男性の女性観は美しさがポイントになるが、女性は男性の生活能力で評価する。女性は長身でハンサムな男性を恋愛用のオモチャにするが、結婚はハゲチビデブでも生活力と将来性のある男性を選ぶ。理知的なのだ。
 多くの男性がそれを承知している。あなたが男性なら、女性を口説くのにロマンチック戦術を採るか、女性の性感帯を攻めるか。前者ならミラー派。口から出任せに歯の浮くようなオベンチャラをいう。普通の男性なら後者。
 ミラー派男性が女性の感情の起伏に合わせた巧みな言葉を使うことを、女性は期待する。少々顔はまずくても、ユーモアのセンスがある男性を女性は選ぶ。人間の頭脳は想像以上にセクシーにできているのだ。心にもないウソをいって異性に近づく人間は、脳の構造を知らないのだ。
 頭のよい孔雀は、異性を口説くには脳を活用することが有効であると知っている。人間が他人の忠告に従わないのは、自分の自尊心が脳の活用を妨げるのだ。愛人に非嫡子を産ませたことで、上院議長に対するコメントがインターネットをにぎわしている。
 ブラジルの政治家は、全般に好色家ではない。女を生理処理用のトイレ位に思っている。しかし、病的な好色家が政治家になった場合、有権者を一言で口説く話術が巧い。ビル・クリントンとミッテラン、ケネディはその類。ミラー説が正しいなら、民主主義に一掴みの石灰があったらよい。これら一世を風靡する政治家は不要だ。
 好色家は、女性を口説くチャンスが多い職業を選ぶ。それは脳の構造が女性をだますようにできているからだ。それに対し女性はどう反応するか。右脳と左脳の答えが二つある。金運を取るか、チャンス到来まで待つかだ。結論を出すまえに同書の一読を薦める。

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