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TAM機事故から1週間=未だに混乱続く=犠牲者の身元確認難航=政府は責任回避に終始

2007年7月28日付け

 【エスタード・デサンパウロ紙関連】国内航空史上で空前の大事故となったTAM航空エアバスA320型機の衝突炎上事故から一週間が経過した二十四日現在、事態は収拾のつかないまま混乱が続いている。事故直後から高まった政府批判に、責任回避に懸命な政府側はうつつを抜かしている、いっぽうでTAM航空が発表した犠牲者一九九人のうち、わずか三〇%の六十六人しか身元確認がなされておらず、遺族らは法医学研究所(IML)を含む政府の不手際に不満を爆発させている。また、世界の中でも危険な空港というレッテルをはられたことで、観光業界にも影響を及ぼしている。
 TAM航空機が衝突炎上した直後から政府に対する批判が高まった。全国の空港は国防省が統轄しており、政府の最終責任となっている。事故が発生したコンゴーニャス空港も例外ではなく、事故直後、空港の不備が指摘されたのはもちろんのこと、事故に対する政府の対応のまずさを非難する声が高まった。
 犠牲者の遺族および関係者は政府に対し、事故処理や善後策を期待したにもかかわらず、政府は事故原因の解明にこだわり、政府への非難の回避を実証することに終止した。
 ルーラ大統領は事故直後の第一声で「事故は昨年から続いている一連の航空混乱に関連しない」と発表し、関係者の神経を逆なでした。事故に関する大統領正式声明は、事故発生後三日目に初めて行われた。
 事故検証を行った空軍技術陣は十九日、事故機の逆噴射装置に欠陥の可能性があると示唆したことで、政府では空港不備が事故の責任ではなかったと大喜びした。
 これによりガルシアおよびガスパル両大統領補佐官ははしゃぎすぎて、みだらなジェスチュアーを示したところを写真に収められ、全国に報道されてひんしゅくを買った。野党は両補佐官の更迭を要求するなどの問題に発展した。これを受けて大統領は政府関係者に対し、事故に関するコメントや発言を禁止した。
 TAM航空の発表によると、二十三日の時点で犠牲者は一九九人に上った。機内の乗客および乗員が一八七人、地上の物流センター内が四人、同じく地上の八人が行方不明となっている。
 このうち法医学研究所(IML)に収容され、身元が確認されて遺族に遺体が引き取られたのはわずか三〇%相当の六十六人のみだった。残りの三分の二は、葬儀はおろか初七日のミサも行うこともできず、遺族や親族は深い悲しみの中で強い怒りを表明している。その怒りの矛先も政府に向けられている。
 マナウス市から息子の遺体を引き取りに来た女性実業家は、IMLに日参しているがラチが明かず、引き取るまではIMLの前から動かないとの悲痛な決意をしている。女性は「息子が物品のごとく袋に入れられて冷凍トラックの中に転がされていることに母親として堪えられない」とした上で、政府が医師や職員を増員して緊急に対応すべきだと指摘している。
 また二十二歳の娘を失くした男性医師は、医師であることからIMLへの入室を許可されたが、所内の検査機器が粗悪であることにびっくりしたという。検査に時間を要するのが当たり前で、関係当局が何らかの対応をすべきだと語った。
 IMLでは遺体の損傷が激しく、DNA鑑定の必要もあるとしている。その場合、結果が出るには一カ月ほど要するとのこと。
 いっぽうで今回の事故で危険空港のレッテルを張られて世界中の知るところとなったことで、観光業界にも影響を及ぼしている。サンパウロ州観光企業協会によると、事故発生からサンパウロ市到着便の予約キャンセルが相次ぎ、昨年対比二〇%の落ち込みとなっており、この傾向はさらに広がるとみている。
 国内最大の商業都市だけに、その七〇%がイベントやフェアーの訪問客が占める。業界によると、今のところ表立った動きはないものの事故のインパクトはかなり強く、予定しているイベントのキャンセルもあり得るとの見方が強まっている。

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