2007年7月31日付け
日本の外務省は三十日、二十九日に投開票が行われた第二十一回参議院通常選挙における在外投票の総数を発表した。
日本を除く全世界で、比例区に二万四一七一人、選挙区に二万三五九〇人が一票を投じた。二百の在外公館で行われた投票では比例区二万三二一人、選挙区一万九八二九人が投票。比例区に限れば前回〇五年の衆院選から二八〇五票(約一三%)、〇四年参院選から三五三一票増加した。
一方の投票率は二四%と、前回選挙(約二六%)から落ち込み。選挙区への投票実現で関心の高まりが期待されたが、低調に終わった。
ブラジル国内の七公館で実施された公館投票における投票総数は、比例区二五八八票、選挙区二二四二票で、前回の衆・参両選挙を下回った。
うち文協ビルを会場に行われたサンパウロ管内の公館投票総数は、比例一九五六票、選挙区一六三五票。全体では二〇〇三票(いずれかだけに投票した人がいるため)で、〇五年衆院選(二一三三票)を大きく下回った。比例だけに限れば、〇四年参院選(一九九九票)を下回り、過去最低の結果となっている。
他の公館での投票結果は次の通り(カッコ内は選挙区投票数)。
ブラジリア=四九(四六)
ベレン=一三五(同)
マナウス=七八(同)
レシフェ=四八(同)
リオ=一一七(同)
クリチーバ=七五(六二)
ポルトアレグレ(駐在館事務所)=一三〇(一二一)
公館別の投票数上位五公館は次の通り(順に比例、選挙区)。一位=サンパウロ、二位=ロサンゼルス(八一三/七九九)、三位=タイ(七八八/同)、四位=ニューヨーク(七七八/七七六)、五位=シンガポール(七四〇/同)。以下、上海、ロンドン、サンフランシスコ、香港、フランスの順。
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サンパウロ管内では、世界ではじめて公館以外の場所として文協ビルで投票を実施した。同館内の選挙人登録者数は公示時点で一万二六四六人と過去最高。投票数の伸びが期待されたが、低調に終わった。投票率も前回参院選時(約一七・二%)を下回る約一五・八%で、世界全体の平均も大きく下回っている。
さらにサンパウロでは、他の公館と比べ選挙区への投票数の少なさが目立った。他国と違い、移住数十年の有権者が多いブラジル。〃なじみの薄い〃選挙区候補への関心の低さが現れた格好だ。
着任以来二度目の公館投票に携わったサンパウロ総領事館の沖田豊穂日系社会班領事は、投票期間が九日間と余裕があったことで「近郊に住む人などで郵便投票を選ぶ人が多かったのではないか」と分析。さらに「亡くなった人や、高齢のため来られなくなった人もいるかもしれない」と付け加える。
実際に、全世界での投票総数から公館投票数を引いた数字(三八五〇票)は前回衆院選から八百票程度伸びている。しかし、〇四年の参院選時(三六七五票)と比べればそれほど増えておらず、〃頭打ち〃の感は否めない。同館では今後、約一千人と見られる駐在員、家族への登録呼びかけも進めていくという。
低調に終わった今回のサンパウロ公館投票だが、一方で沖田領事は、来場者の待ち時間がほとんどなく、スムーズに投票が進んだことなど文協ビルでの投票の利点を強調。「満足に投票していただけたと思う」と話した。
連日平均二百人が訪れた投票では、待合所として使用されるはずだった文協講堂の座席はほとんど使われることはなく、訪れた人は順序よく投票を済ませていた。同館では次回以降の選挙でも、文協ビルで投票を行う考えだ。
前回の衆院選では、連日五百人規模の人たちが投票に訪れた。与党の大敗を受けた政局の流動化、解散総選挙が現実となれば、文協会場はその〃真価〃を発揮するだろう。その一方で、衆院選が実施された場合、比例に加え、三百小選挙区の候補者情報をどのように提供するのかなど、課題も多い。