ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | TAM機事故=人為ミスの可能性=機体も故障だらけ=パイロットらパニック状態=過去に同様の事故3件

TAM機事故=人為ミスの可能性=機体も故障だらけ=パイロットらパニック状態=過去に同様の事故3件

2007年8月2日付け

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙一日】TAM航空エアバスA320型機がコンゴーニャス空港で一九九人の犠牲者を出した事故について、三十一日にブラック・ボックスを開いて録音されたCD―ROMを再生した結果、着陸時のスピード超過と停止装置作動不能の人為ミスの可能性が浮上した。まずスロットル・レバーの操作ミスと着陸前の態勢、着地時の逆噴射不備などが想定された。また着地時は自動的に作動する両翼のスポイラーにも不備があったようだ。可能性は低いが、機体のコンピューターにも誤作動があったらしい。
 人為ミスと想定される第一の理由は、着陸態勢に入った時スロットル・レバーが一方だけアイドル(ニュートラル)にあり、他方は加速ポイントにあった。そのため着地時に一方のレバーは加速位置にあり、タービンも加速し、逆噴射に切り替えていなかった。タイヤのブレーキは故障していた。
 似たような事故が一九九八年にフィリッピンで、二〇〇二年に米国フェニックスで、〇四年に台北と三件発生している。これは晴天の中で滑走路が短いために起きたが、パイロットの機転で犠牲者は出なかった。
 それぞれの事故で航空安全の国際機関は、再発防止のためスロットル・レバーが機能不全のときの教訓を発表した。しかし、どれもパイロットによるとっさの機転で惨事を回避しているようだ。
 録音によると、機内は異常事態で叫び声が飛び交った。「逆噴射が片方故障」「スポイラーが動いていない」「スピードを落せ」「ダメだ。ダメだ。」と繰り返し、パニック状態を示した。これまで検査に立ち会った技師は、機械関係の専門家ばかりで電子関係がいないので、中枢系統の検査は行われていない。
 着陸態勢で逆噴射は一つのエンジンしかないという会話があり、パイロットらは装置の故障を知っていたらしい。着陸時は自動的に両翼が停止態勢へ反るスポイラ―が故障とパイロットは驚いた。最後は何でもいいからいじり回せと、パイロットの絶望感が伺えた。
 ブラック・ボックスの点検は、空軍技官ら立会いのもと国会で行う。滑走路の状態や雨天での逆噴射不備、機体の傾きなど疑問点はまだ多数あり、結論には時間がかかる。
 航空需要の急増でサンパウロ市―リオデジャネイロ市間の新幹線計画は、うわさに上がっては引き出しへ投げ込まれる。敷設の可能性は、利用する乗客の数次第といわれている。総工費九〇億ドルに対する予測利用者数では採算が取れないため、民間企業は動かない。赤字分を政府が助成金で補うかの問題になる。
 第三空港案がジョビン国防相のサンパウロ国際空港(クンビッカ空港)第三滑走路案で廃案となったが、ロウセフ官房長官は朝礼暮改ではないと前案に固執する。滑走路増設は、クンビッカやヴィラコッポス、ジュンジアイにせよ、一時しのぎに過ぎないと見ている。しかし、第三空港は予定地選定だけで、現政権の任期が終わりそうだ。
 頼りのクンビッカ空港は滑走路が三七〇〇メートルと本格的だが、竣工して二十二年間未補修のために穴だらけである。完全に補修するには、新しい滑走路を建設する位の工事費がかかる。予備滑走路は排水装置がすり減り、コンクリートの小石が滑走路表面に散在し、タービンの中へ吸い込まれる危険性がある。