2007年8月3日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】政府は国内で巨大電信電話会社を立ち上げるための第一歩を踏み出した。現存のOI(前テレマール)とブラジル・テレコムを合併させ、ブラジル資本によるマンモス企業とするのが狙い。この企業はあくまで民間主導で経営されるが、企業の基本方針などの決定に政府が発言力を有するのが特徴。特に外資系への売却には拒否権を発することが可能となっている。
電話業界では半年ほど前から、外資系のグループが国内資本や外資系の企業への買収工作で目立った動きをしており、脅威だとして歯止めをかけるべきとの声が高まっていた。特にメキシコのテレメックスとスペインのテレフォニカは活発な動きを見せていた。両社とも国内で固定電話、携帯電話、テレビ衛星放送の分野に投資しており、勢力拡張を図っている。
これを受けてコスタ通信相は一日、閣僚間委員会を発足させて合併の検討を命じたことを明らかにした。委員会の決定に期限を設けていないが、技術的に問題がなければルーラ大統領に提起して、新たな合併法案を設定したいとしている。
同相によると、マンモス企業が誕生すると、客先は二二六〇万人となり、国内シェアーの六二%を占めることになる。さらに三〇〇億レアルの市場となることで、収益性も高まる優良企業に発展すると指摘している。
OIとブラジル・テレコムは全国二五州とブラジリアを網羅しているが、これによりほぼ全土を手中に収めることになる。現在例外となっているのがサンパウロ州(テレフォニカ)、三角ミナス(テレコム)、パラナ州ロンドリーナ市(セルコンテル)となっている。
ただし、これによる独占営業と勝手な身売りを防止するため、政府は特別株の優先議決権を駆使するとの意向を前面に押し出している。これらの企業には社会経済開発銀行(BNDES)を通じて融資しており、これを特別株(ゴールデン・シェア)に転換している。コスタ通信相は、マンモス企業が投資家の餌食となり、果ては外資系に買収されるのは避けたいとの考えを強調している。