2007年8月4日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】連邦警察と検察庁は二日、郵便局で再度不正入札をはたらく犯罪組織を摘発し、事業家三人と職員二人を容疑者として逮捕した。郵便局マフィアは二〇〇五年に一度摘発されたが、一味はメンバーだけを交代し、同じ不正システムを継続していた。逮捕された一人は、前回郵便局入札課のマリーニョ課長がワイロ三〇〇〇レアルを受取る現場を撮影した本人である。同課長の犯行現場公表は、ジェフェルソン・ブラジル労働党(PTB)党首が、連立政府に裏切られたとし、裏金スキャンダルとともに暴露させたもの。
郵便局の資材購入にまつわる不正入札の犯罪組織は、連警によって裏金スキャンダルとともに一度解体された。だが関係者を排除しただけで、システムは別の人間が遠隔操作で継承し、健在であった。
システムの継承は、スラム街で犯罪組織CV(赤いコマンド)が行っている手法である。組織のメンバーが射殺や逮捕で空席になると、直ちに代役が入りシステムを継続する。同じ手法が公共機関の中で組織によって行われた。
公共機関の中の汚職システムは、人体におけるガン細胞のように腫瘍が転移する。完全な治癒は不可能らしい。疑惑関与の職員を排除しても、システムは見えない病原菌として他の個所へ転移するので、連警と検察庁は手を焼いている。
郵便局には不正システムの方程式が完成している。談合価格と落札者の順序が前以って決まっており、郵便局側でシステムを保護するため便宜を図る。郵便局内には現在、二〇以上の犯罪組織が郵便局のトップと癒着している。
郵便局幹部と犯罪組織の腐れ縁は、軍政終焉以後に始まった。マフィアの目が公共機関職員の私生活にも光っているので、完全に関係を絶ち難い。同犯罪組織の魔手は郵便局ばかりでなく、保健省や他の省庁にも絡んでいる。
犯罪組織は、ロビイストの仮面をかぶり、軍政時代の情報局(SNI)退職者や国家情報局(Abin)の下部職員を雇って省庁へ出入りする。犯罪組織に一度にらまれたら、治安当局のタレコミや組織のお先棒担ぎなどで日陰を歩くしかないと思ってよい。
犯罪組織は使えそうな職員と見たら、親しく近づく。ご馳走しながらはめ込み、退路を塞ぐ。目的のモノを当局の規格内として認めさせる。当局の許容価格を聞き出し、やや低め価格で入札する。思い通りに行けば、職員は安泰。
郵便局は、入札で郵便配達人の運動靴、雨カッパ、傘、長靴、小包用冷蔵庫、金庫などを購入する。入札価格で不正を行い、納品でも規格外商品を納めてダブル不正を行う。
今回の連警セーロ作戦で逮捕されたワスシェック容疑者は、前回の郵便局疑惑でも喚問され、六カ月毎の定期報告を義務づけられた。不正入札のシステムを熟知しているので、新たな不正システムを考案し、当局の目をごまかしていた。
郵便局CPI(議会調査委員会)が汚職防止法二案を起草して上程したが、可決は一案に留まった。第二案はいまだ表決されていない。国会審議ののろさが、汚職防止に役立っていないようだ。また国会や議事のあり方が、現実の要求に即していないらしい。