2007年8月4日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙七月三十日、一日】サンパウロ州内の高速道路での七月における交通事故死者数は昨年同月対比一一・一%の減少となったものの、違反車の摘発は九・五七%の増加となった。いっぽうで各州間を結ぶ国道では死者が一八%、負傷者が二七%それぞれ増加する交通地獄となった。この背景には乗用車の国内販売が好調で新車による旅行が増えたことと、空港混乱で飛行機を敬遠してバスを利用する人が増えたことで、国道の走行車が増加したことによる。とくにTAM航空機の事故発生以来、バス利用者は八〇%増となり、平日は例年の金曜日並みの混雑ぶりで、最も利用の多い金曜日はあたかも連休前日の人出となっている。
軍警道路警察によると、州内の高速道路での七月度の事故死亡者は二〇一人となり、昨年同月対比一一・一%の減少となった。このうち四三人は轢死だった。事故総数は六四四七件で、死亡者の減少は道路の改善と、休暇シーズンに向けて取締りが強化された効果の表われとみている。
取締りの強化で違反者は昨年より九・五七%多い五万四七四一台が摘発され、二四七五台が押収、一四一八人の運転免許が没収された。さらにこれまでは取締り対象となっていなかった、黒煙を規定以上に吐いて走行した二八六六台も摘発された。
いっぽうで連邦道路警察の発表によると、七月の十五日間で国道での事故死は昨年同時期対比一八%の増加となり、負傷者は二七%増となった。この原因として休暇シーズンであることはもとより、空港混乱の影響で空路を避けて陸路を選択した旅行者が増え、例年より二〇%から二五%多い走行車となった。
サンパウロ、リオデジャネイロおよびミナス・ジェライス州を結ぶ国道は二五%増となった。パラナ州とサンタ・カタリナ州では二〇%増、リオ・グランデ・ド・スル州では一五%増だった。そのほかの州では空港混乱の余波は見られなかった。
例年より走行車が増加したのは、自動車産業の活況で国内販売が歴史的に急増したことで、空の足に頼らずに新車の試し乗りが増えたのも原因とみられている。この背景には昨年から混乱が続いている航空問題に直面し、空の旅に見切りをつけてその経費を新車購入に回した向きも多いとみている。
連警では国道での事故防止に努力したにもかかわらず、今年の上半期は昨年対比で事故が一一%増、犠牲者が一〇%増、負傷者が一二%増となった。かかる状況下、サンパウロ市内のバスターミナルは二十九日、学校冬期休暇の最終日ということで、TAM航空機の事故によりコンゴーニャス空港が通常通り稼働していないことを受けて人出でゴッタ返した。
チエテ・ターミナルは終日混雑し、入口や車の乗降口は身動きがとれぬ程に。バラフンダ・ターミナルはサンパウロ州地方都市のバスの発着が多いことから、午後に混乱をきたした。ターミナル管理局によると、休暇シーズンということで、通常の二〇%を予想していたが、現実には八〇%以上の増加になったという。
利用客で目立ったのは、航空会社のチケットやラベルを貼った荷物を持った人がバス乗車券を求めて右往左往していることだ。リオ市に向かう若いグループは、TAM航空でクンビッカ空港から出る飛行機があったが、四〇〇レアルと高く、バスはエゼクチブクラスで六五レアルと安上がりだとし、空港までの時間、待ち時間を入れると、到着はバスと変わらないと語っている。
これを受けてバス会社は軒並み増便して対応している、最も利用が多いサンパウロ・リオ間はこれまでの一日八〇便から三〇%増の一二五便としたが、いずれも満席で旅立っている。