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先進国は「負け組」?=グロバリゼーションの功罪

2007年8月4日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙七月三十日】世界の開発途上国の国民の大半は、グロバリゼーションの影響で五年前に比べて生活が改善されて満足している。しかしいっぽうで、先進国の国民は購買力が低下したことで一抹の不安を抱いている。ワシントンに本社を置くピュー・リサーチ・センターが四月半ばから五月の初めにかけて四十七カ国の四万五二三九人を対象に意識調査を行った結果による。
 それによると、四十七カ国中三十六カ国の国民の大半が五年前に比し、今はハシゴの最上段にいるみたいなものだとの満足感を表した。反面で米国、カナダ、フランス、ドイツ、イタリア、日本などの先進国では、自分たちの子供の世代がより困難な生活を強いられるだとうとの不安感を示した。
 国民所得が増加することで政府への信用度が高まるのは当然のことで、この傾向はアジアの中国、マレーシア・バングラディッシュで顕著となっている。マレーシアでは政府支持率が九二%と今調査で最も高率となった。中国では生活改善による満足度は低いながらも政府支持率は八九%で二番目となった。国内総生産(GDP)の驚異的成長が国民の支持につながった。
 今回の意識調査は、グロバリゼーションが国民の生活にいかに影響を与えるかの実証であり、国民の満足度が最も高かったのがラテン・アメリカ諸国だった。この地域では二〇〇二年までの五年間の成長はゼロだったが、それ以降の五年間で一八%の成長を遂げた。
 今回の調査で興味をひいたのがテロに対する意識調査で、イスラム教諸国でもテロへの支持が減少している。十六カ国のイスラム強国ではいずれもテロの否定が目立った。
 レバノンでは三四%が自爆テロを「イスラム教を守るために」と容認したものの、二〇〇二年に比し七四%の減少となった。ヨルダンでは四三%減の二三%どまり、パキスタンでは三三%から九%へと減少した。またヨルダンではオサマ・ビン・ラディンの支持が二〇〇二年で半数以上だったのが、今回は二〇%に下落した。レバノンでは二〇%から一%へと人気が凋落した。
 ブラジルは調査対象国とはならなかったが、関係専門家筋によると、途上国と同様の傾向を示しているという。北部や北東部の貧困地区が貧困手当などの浸透で所得が増加して消費ブームとなり、活況を呈している。もともとはルーラ大統領の選挙の地盤であり、地域活性化でさらに同大統領の支持が増え、政府信用度が高まっているのが実情である。