2007年8月8日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙七日】中南米諸国を歴訪中のルーラ大統領は六日、最初の訪問国であるメキシコに到着した。大統領の今回の歴訪の目的は、中米諸国との外交ルートによる通商および技術提携などの二カ国間条約の締結が前提となっている。特に訪問初日のメキシコでは具体的な煮詰めを行い、他国からの関心を深めるとの狙いから交渉に臨んだものの、その思惑は見事に外れた。
カルデロン大統領との両国首脳会談では通商に関する具体条件は議題に上らず、わずかにバイオ燃料技術をブラジルが供与することで覚え書きが交換されたにとどまった。
この背景にはカルデロン大統領が中米の近隣諸国との友好関係を重視していることが挙げられている。ルーラ大統領が固執している国連安保理事国入りに対しても、メキシコはアルゼンチンとコロンビアとともに反対の立場を表明しており、ブラジルとは一線を画していないのも原因となっている。
いっぽうでルーラ大統領は、メキシコの企業家との集会で通商促進およびブラジルへの企業誘致を呼びかけた。このために経済活性化計画(PAC)で五〇四〇億ドルの投資案件を用意していることを強調、舞台はすべて整っており、残すは企業化の勇気ある決断のみだと鼓舞した。しかし大統領の熱演に対し、メキシコ側の反応は今一つだった。
また、エネルギー資源確保のためにブラジルはメキシコに対し、メキシコ・ガルフ湾の石油採掘の共同開発を再三申し入れてきたことで、今回もそれを議題として盛り込みたいとの方向を示したが、メキシコ憲法がペメックス(石油公団)にも独占権を与えており、かつ他企業家との提携を禁止していることで、今回も進展は見られなかった。
さらにルーラ大統領の歴訪目的の一つとなっている国連安保理理事国入りへの賛同について、カルデロン大統領は安保理の体制改革が緊急課題だとして、ブラジルの立候補についてコメントを避けた。理事国には新たに各大陸別にドイツ、日本、インド、ブラジルラが立候補している。これにつきイタリアがドイツに反対、中国と韓国が日本に反対、パキスタンがインドに、メキシコ、アルゼンチン、コロンビアがブラジルに反対している。