2007年8月8日付け
米州各国で活躍する女性に光を当てる――。汎米日系人協会主催の分科会「女性の社会進出」は七月十九日、「日系女性国際フォーラム」として、ブルーツリーホテル内で開催された。
当日は森敬恵さん(日本、歌手)、笠松エミさん(パラグアイ、元パ国駐日大使夫人)、木村リリアンさん(アメリカ、全米日系リーグ初代会長)、森崎ルイザさん(ペルー、コーラス指揮者)、山村フラビアさん(ブラジル、ブラジル海軍少佐)、宗像直美さん(ブラジル、サンパウロ交響楽団コーラス指揮者)、吉田コンスエロさん(ブラジル、連邦判事)、山崎千津薫さん(ブラジル、映画監督)と、それぞれ各国で活躍している日系女性が集い、パネルディスカッション。議論は盛り上がりを見せ、母親の役割また、日系人のプレゼンテーション能力にまで話題が及んだ。会場には女性を中心に約五十人が集い、多数の質問、活発な意見交換が行われていた。
まず、各代表者一人一人が自身の経験や意見を発表。森敬恵さんは母親としての役割の重要性を説き、「規律や義務、物事に対する心を育てることが大事です」。その上で、童謡や唱歌を歌いながら日本全国をまわる自身の活動を紹介し、会場から拍手を受けた。
木村リリアンさんは「アメリカは民主的で女性が多岐にわたって活躍している」とする一方、日系女性については「あまり表に出ることがない」と発言。また、ハーフの子弟の場合には、母親が日系だと子どもにも「日本的なものが残りやすい」との見解を示した。
山村少佐は、「海軍も日本文化のように、伝統を重んじ、規律を守る。海軍で働けることを誇りに思っています」。吉田さんは「司法界では、『女性=革新』ということが言われていることを紹介し、「自分を高めることが他人にパワーを伝えることにつながる。人間は一人では生きられない」と自身の信念を述べた。
山崎さんは話の視野を広げて「顔のみが日本人で、日本などに帰属を感じない人がいる。百周年は先祖に帰るいい機会」と発表。
会場からは、「日系アイデンティティーの喪失には、教育に力を入れることが大事」「日系はポルトガル語を話しても、内気で前にでない」「四世、五世が生まれてきている中、女性が地域でリーダーシップをとっていけば、日本文化も維持されやすい」などといった意見が出された。
会場の疑問に対し、吉田さんが「医療や技術関係、また文化にしても日系人の活躍が確立された分野もあるから、これからも日系人の働きが認められていく可能性は大いにある」。
山村少佐は「一見静かに見えても、やるときはちゃんと発言するというスタンスをわかってもらう。日本人、ブラジル人の二つの長所を合わせて物事を見られるのが、日系人の強みだと思う」と意見を返し、山崎さんが「日系社会を、ブラジルという全体の中でとらえなくてはいけない。ブラジルもふるさとであり、文化は融合しつつある」と話して、会をまとめた。
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