2007年8月9日付け
【イグアスー発】去る七月二十九日、パラグアイのイグアスー移住地で平均年齢が古希を超える日本人移住者たちが地球(くに)の未来に夢を託す植林活動を行った。首都アスンシオンの老人クラブ・寿会(山田一明会長・岡山県)の一行三十名が移住地を訪問して、地元の老人クラブ・鶴寿会(菅原祐助会長・岩手県)会員と一緒に、約二百本の苗木を植えたもの。アスンシオン老人クラブの名前を冠して「寿会の森」と命名した。
「鶴寿の森」は、昨年九月に誕生して、植えられた樹木は順調に育っている。今回の植林の苗木は、イグアスー日本人会所有の育苗センターで育てられた地元の気候風土に適合するラパーチョ、パラナ松、マンゴなど、花の咲く樹種、果物のなる樹種、など数種類が選ばれた。
植林地(寿会の森)の選定や苗木を植える穴掘りなどの事前の準備作業を担った日本人会・環境保護委員会の篠藤菊雄委員長(愛媛県)は「老人クラブの皆さまの積極的な姿勢に感動しました」と述べた。パラグアイ政府は、環境保護のため、所有面積の五%に樹木を植えることを農家に義務づけているが、実行が遅々として進んでいない現状の中で、老人クラブ会員の行動に敬意を表したもの。
「私たちの(行動は)微々たるものに過ぎないが、地球(くに)を美しくする心を育て、若者に対する模範の一つになれば、将来は大きなものに育つだろう」という期待を表明したのは鶴寿会の菅原祐助会長。寿会の山田一明会長は「日本人として木を植える行為は大和魂の継承につながる」として、このような機会に感謝する、と述べた。
つい最近まで寿会の会長をつとめていた石田寛さん(愛媛県)は「植林する仲間の一人になれてうれしい。久しぶりにいい気持ちになった。この森をきれいにしていきたいね」と喜びを表現した。
寿会の会員で、二○○六年に創立三十周年を迎えた全パラグアイ日系婦人団体連絡協議会の会長を二十年間務め、三十周年を機に後進に会長を譲ったという岡本照子さん(香川県)は「暗いニュースが多い中で、今日の植林はとても明るい行為で、大きな夢につながりました。私たちは夢をかけて移住してきました。残り少ない人生になりましたが、今日は夢をかけて一本、一本植えました。植えながら、自然に恩返しをしているのだ、という思いにかられ嬉しかった。植えた苗木を見にまたイグアスーに来ます」と感激の面持ち。
植林のあと、参加者たちはすでに存在している(昨年九月、ブラジルからのふるさと巡り一行が植えた)「交流の森」「鶴寿の森」(イグアスー日本語学校の児童たちが植えた)「こどもの森」などを散策して、自分たちが植えた苗木は必ず育つ、という確信を得た。
七月二十九日に誕生した「寿会の森」は八番目の森の子となった。イグアスー移住地は「美しい森づくりのふるさと」になりつつあるようだ。