2007年8月11日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】不正資金のスキャンダルで上院議長の席を辞するかどうかの剣が峰に立たされているレナン・カリェイロス上院議長に、新たに不正資金の流れの疑惑が起き上がった。
今回の疑惑はヴェージャ誌が先週末の最新号でスッパ抜いたもので、同議長がアラゴアス州のラジオ局を買収した際の資金の流れを明確にしておらず、しかも買収者を他人名義にしたと告発している。
その上でラジオ局の定款を複数回変更し、同議長の息子と従兄弟の名義として現在に至っているとしている。この買収だけで二五〇万レアル、そのほかマセイオ州の他のラジオ局の買収などに多額の資金が動いたと指摘している。
これを受けて上院懲罰委員のロメオ・トゥーマ上議は九日、通信省に対し一連の企業の登録や定款などの書類をすべて提出するよう要請した。トゥーマ上議によると、古い会社登録しか手許になく、それには上院議長の名は一切表面に出ていないという。しかし、その後の定款変更などを見て、事実を確認したいとしている。
いっぽうで野党側は議長が他人名義で買収工作した疑いがあるとして、上院倫理委員会に告発して調査を求めるとの動きを見せている。
カリェイロス議長のスキャンダルは、愛人の女性ジャーナリスの家賃支払いと、その愛人の間に出来た娘の養育費を朋友でありロビイストでもあるメンデス・ジュニオル建設会社社長に支払ってもらっていたことで、不正資金として摘発されたのを皮切りに、ビール会社のスキンカリオルがアラゴアス州のビール会社買収に当り、五〇〇%の水増し売買契約を結んだ仲介人として告発されており、今回が三番目の疑惑となっている。
これに対し同議長は全面的に疑惑を否定、議長辞任を強く拒否している。野党第一党ブラジル民主社会党(PSDB)のタッソ上議は、議長の椅子にしがみついている心情が理解できないとした上で、このままでは上院の信用にかかわるとの苦言を呈している。