2007年8月11日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙四日】工業生産が連続九カ月間の増加となったことで、今年一月から六月までの上半期は四・八%成長と好調に推移した。地理統計院(IBGE)が中間報告として発表した。これにより今年後半の下半期は崩れる要素がないことから、さらに成長の度合いを増して六・五%に達するとの楽観的予想をしている。工業生産拡大の背景には国内需要の伸長が最大の要素だが、輸出の伸びと農業部門の好調も後押ししている。
工業の高度成長が続いたことで、過去との実績の比較がことごとく上昇した。六月度は前月(五月)比で一・二%、昨年六月対比で六・六%、上半期対比で四・八%とそれぞれ増加した。第1・四半期から第2・四半期に向けては三・八%から五・八%へと上昇した。
六月までの過去十二ヵ月間の累計は三・九%の高率で、五月までの十二カ月間の累計三・三%を上回った。IBGEが調査した八〇〇品目の生産がこれまでの六〇%増から六月度は六四・四%増となった。
好調の原因は何といっても内需の拡大によるものだが、輸出が依然として根強い伸長を遂げていることも見逃せない。さらに農産物の豊作に合わせ、農業部門の成長が著しいことも挙げられている。
こうした背景をもとにIBGEは下半期の予想につき、慎重を要するとしながらも、根強い経済の後押しを受けて、景気後退はあり得ないとして、さらに成長を極め、六・五%に達するとみている、最大の要因は内需の好調で、小売商の販売増、所得の増加、失業の減少、インフレ抑制のほか、クレジットの拡大と金利引き下げによる長期月賦の浸透を挙げている。
工業成長に拍車がかかることで、インフレ上昇が懸念されるという副作用も噴出している。通貨政策委員会(COPOM)では前回の定例会議ですでに懸念を表明しながらも、基本金利(SELIC)を〇・五ポイント引き下げたが、次回九月の定例会議では〇・二五ポイントの小幅引き下げにとどめるとみられている。
いっぽうで、資本財といわれる工業機械や機器類の生産が六月度、昨年同月比で一七・四%増加したことが明るい材料として迎えられている、これらは経済への投資となるもので、これによりインフレ抑制の鍵になるとみられている。機械や機器類の業種別の増加は、工業(二〇・八%)、農業(三一%)、エネルギー(一五・九%)、建築(一三・四%)、運送(一二・二%)、その他(一五・八%)と多岐にわたった。