2007年8月14日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】打ち続く航空トラブルを背景に、空港設備およびそれを管理する公団の在り方が問題視されて議論が伯仲している中で、国内主要空港の七〇%が有効利用されていないという事実が明るみとなった。
空港整備公団の発表によると、大空港と位置付けられている六七空港のうち二〇空港は、サンパウロ市コンゴーニャス空港のような過密な利用状況になっているものの、残りの七〇%は、設備能力のせいぜい三〇%程度しか稼動していないという。このため三分の一の空港は採算が取れず、公庫が赤字負担を強いられている。
民間航空局の登録によると、ブラジル国内には二四九八カ所の空港および発着所(ターミナルビルの無いもの)があり、うち公共が七三九カ所で、個人所有が一七五九カ所となっている。国際航空機関の登録によると、世界でアメリカに次ぐ二番目の数となっている。アメリカは一万六五〇七カ所、メキシコが一七〇八カ所で三番目、カナダが一一七五カ所で四番目となっている。
しかし、運航キロ数当り乗客数になると、ブラジルは十六番目のランキングとなっている。上位国は日本、中国、オランダ、オーストラリア、ロシアの国々で、いずれも空港が少ないにもかかわらず効率的に乗客を運んでいる。
この現象に対し専門家筋は、事前調査も行わず、採算を無視した無計画な空港建設が原因だと指摘している。政治家が選挙の票田稼ぎのために空港を誘致したに過ぎず、無駄な投資に終わっていると指摘している。ジョビン国防相はこの実態に接し、驚くべき事実だと嘆いたと伝えられている。
例えばブラジルを代表するリオデジャネイロ市のガレオン空港は二本の滑走路と五三機を収容する格納庫があるが、滑走路は二八%、格納庫は四三%しか利用されていない。ターミナルは一五〇〇万人の収容能力だが、四〇〇万人が利用したにとどまっている。この傾向はポルト・アレグレ、ヴィラコポス(サンパウロ州)、フォルタレザ、マナウス、クアバー、マセイオの空港も同様となっている。
サンパウロ州では三一空港のうちわずか三空港(リベイロン・プレト、アマライス、サン・ジョゼー・ド・リオ・プレト)が収支トントンで、残り二八空港(九〇%)は赤字となっている。昨年一年間で州政府の赤字負担は五一〇万レアルに上った。これは新規に三つの病院を建設して運営するのに十分な金額だ。