2007年8月15日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙七月九日】ウオッカが一九九〇年代初期、宣伝フレーズに「私は明日のあなたです」といった。本来は悪酔いをしないという意味であった。それを悪酔いの意味に使い、オルロッフ現象と呼んだ。ブラジルと亜国は当時、悪性インフレに悩まされていた。
亜国でインフレ対策として採った政策を、ブラジルでも真似た。隣国で政策が失敗に終わると、ブラジルでも同じことが起きた。それなのに、また同じことが起きようとしている。今度はインフレではなく、エネルギー危機である。
亜国は今、エネルギー危機に見舞われている。これは、ブラジルでも遠からず起きそうなのだ。アスンションで五日、開催されたメルコスル首脳会議で亜国のキルチネル大統領はルーラ大統領に危機脱出のために助けを求めた。
ルーラ大統領は、送電量を増やすことで合意した。亜国では、異常乾燥で降雨量が激減。問題は降雨不足と発電能力の激減が予測できたのに、天然ガスをチリへ輸出した。チリはガス消費の九〇%を亜国に依存している。
これはルーラ大統領が四月にチリを訪問したときに知らされた。エネルギー危機は国際問題であり、解決策のない難題である。国家安泰のために前以て手を打って対策を講じておくか、供給制限と配給制にするしかないのだ。
亜国の場合は、長期の経済危機から脱出して景気回復でフル生産に入ったが、電力のインフラ投資がしてなかったのだ。亜国としては弾みのついた景気にブレーキをかけることはできない。政府は物価凍結や行政介入で、民間の投資意欲を殺いでしまった。
亜国政府は物価の高騰を押さえるため、古いバカな処方せんを持ち出した。亜国のインフレは公式発表を遥かに超え、物とサービスの供給が激減した。現在起きているエネルギー不足は、それの置き土産だ。
ブラジル政府は亜国の例を教訓に、エネルギー確保とインフラ整備のため投資奨励策を打ち出すべきである。政府が基幹産業への投資に対し執った管理基準の失策には、それなりの妥当な賠償を行わないと必要な投資は見込めない。
専門家の計算では、経済成長率四・二%を達成するため二〇一六年までに発電に一六七五億レアルの設備投資が必要という。しかし、エネルギー投資は停滞している。国道や港湾プロジェクトも、環境保護局の非認可でストップしている。これでは現在の亜国は、明日のブラジルというオルロッフ現象であるといわざるを得ない。