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政府=小切手税は延長の方針=地方への分配もなし=野党との調整難航か

2007年8月16日付け

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】政府は十四日、主要閣僚から成る政策座標委員会を開き、懸案となっている金融取引暫定令(通称小切手税、CPMF)を現行のままで延長するとの方針を再確認した。
 それにともない野党側が主張している地方行政への税収分割は行わず、一括して中央(連邦)の税収とすることを取り決めた。その上で法令が期限切れとなる今年末を控え、九月に下院で、十一月に上院で議決による承諾を得ることで調整し、来年一月から引き続き実施していくとの意向を示した。
 この決定を受けてルーラ大統領は、地方行政に対して十分な投資や交付金を供出しており、今後も拡大方針にあることから、暫定令による税収を還元する必要はないとの考えを強調した。その上で、三六〇億レアルに上る年間税収を中央政権が一人占めしているように取られているが、政府は経済活性化計画(PAC)を通して地方への投資を進めており、地方を置き去りにしている訳ではないと正当性を強調した。さらに、反発している野党やサンパウロ州工業連盟などと個別に会談して政府の立場を説明する用意があるとして、自ら懐柔に乗り出す姿勢を見せている。
 しかし、国会での承認には大きな壁があり、政府と野党との間での工作が焦点となる。民主党(DEM)は党大会で承認反対の決定を行っており、連立与党のブラジル民主運動党(PMDB)の中でも反対を表明している造反議員がいる。
 これからすると、上院の承認に必要な五分の三議席の四十九議員の票を取りまとめるのは至難の業となる。野党第一党のブラジル民主社会党(PSDB)とDEMで上院三十議席を占めており、PSDBの出方次第という状況下にある。
 PSDBは延長に際して小切手税を現行の〇・三八から〇・二〇%に引き下げた上で、州と市にそれぞれ二〇%、一〇%分割するという案を提示している。今回の政府決定とはへだたりがあり、両者間の調整が注目される。