2007年8月17日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】リオデジャネイロ市バーラ・ダ・チジュカ区で十五日午後、ニセ警官と思われる三人組が実業家を誘拐しようとした。誘拐は未遂に終わったものの、現金三万レアルと乗用車を奪って逃走する事件が発生した。
三人組はいずれも連邦警察の制服を着用し、被害者に逮捕する旨を告げて連れ去ろうとした。連警ではその時刻に検問や捜査活動の予定がなかったことから、警官を装った新手口の犯行とみて捜査を進めている。
事件は同区でも人通りの多いアルマンド・ロンバルディ大通りで白昼発生した。三人組が分乗したホンダ・シビック車が車上に取り付けたサイレンを鳴らしながら被害者が運転する車に近づき、停車を命じた。車から降りた被害者に三人組は「警察だ、資金洗浄の罪で逮捕する」としてホンダ車に押し込もうとした。その折、右手に手錠をかけられた。
被害者は身に覚えがないことから烈しく抵抗、三人組と乱闘となった。物見高い群衆が集まる中で、たまたま通り合わせたエスタード紙のカメラマンがその模様をカメラに収めたことで、三人組は行為を中止して被害者の車を奪って逃走した。車には三万レアルの現金が置かれていた。
被害者は旅行代理店兼両替商の経営者で、事件の直前に自動車販売代理店から一万五〇〇〇ドルの両替の依頼があった。自動車購入の一部にドルを両替するのはいつものことで、被害者は何の不審も抱かずに三万レアルの現金を持って出かけた。
しかし、販売代理店ではそんな依頼はしていないということで、被害者は空戻りで引き上げた。そして事件発生の現場で三人組に拉致されかけた。警察では三人組の計画的犯行で、現金を奪った挙句に被害者を誘拐して身代金を巻き上げようとしたものとみている。
連警では、カメラマンの撮した写真をもとに身許を割り出しているが、今のところ連警の中に該当する警官はいないという。残り一万二〇〇〇人の警官隊をくまなく照合するという。