2007年8月23日付け
ブラジル日本移民百周年記念式典まで十カ月を切った。広報の不足からか、コロニア一般には各事業の進捗状況、集金の状態などが見えない状態が続いており、「どうなってるの?」との声も高い。今年三月に引き続き、来月三日に訪日する松尾治・百周年協会執行委員長に百周年に対する疑問をぶつけた。
【訪日の目的は】
今回の訪日の理由は、今年三月同様、県庁を回ってのPR活動。前回を超え、今回は新潟、群馬、青森、岩手、山形、栃木、埼玉、愛媛、香川、徳島、広島、熊本、宮崎、滋賀、三重の十五県庁を訪問する。
「『友情の灯』を実施する神戸、京都、北海道も訪問団を送ると明言するなど積極的になってくれている」と前回の訪問を評価、今回訪問する熊本県が大規模な訪問団を送る意向を示していることから、具体的な調整ができるのでは、と期待する。
【県連との関係は】
「県連会長だから、各県庁も応対がいいのでは」と二足のわらじを履くことへの批判を軽くかわし、十一日から訪日するマルタ・スプリシー観光相と関係機関を歩き、多くの訪問を見込む。
「来年の日本祭りのテーマはもちろん百周年。式典に来られなかった人が参加して百年の歴史に触れるような祭典作りをしたい」と見据える。
【ねぶた祭りパレード?】
今月、米国ロサンジェルスの日系人街、リトル東京で野外公演、好評を博した青森の「ねぶた祭り」招待を見込んだ関係者との会合も行なう。百周年パレードに華を添える企画だが、この件に詳しい関係者によれば、「約三千万かかるという来伯費用の半分をブラジル側が負担すれば、実現可能」と話す。
これに対し、松尾委員長は、ロス公演も地元日系企業がスポンサーとなったことから、「これからの協力企業探しがネックになる」と力を込める。
なお、在日ブラジル人が多く住む群馬県太田市(または大泉町)、浜松、名古屋でデカセギ関係者とも懇談を行なう。そのさい、「企業、個人相手にも募金活動を行ないたい」としている。
【日本からの送金は】
昨年末、日本の在日外国人向けメディア「IPC」から申し出を受けた百万レアルの寄付金が受け取れない件(本面七月七日既報)について、今月中旬に在聖総領事館にプロジェクトの予算案などを提出しており、現在返答待ち。この問題を解決しなければ、日本側企業からの大型送金は望めない状況だ。
【集金状況は】
総予算は千七百万レアルといわれているが、現在集まっているのは、IPCなど申し出を受けているだけのものも含め、百八十万レアルで約一割に過ぎない。
一方、予算の半額を負担する企業と交渉を行なっていることを明かす。実現すれば、「五、六百万レが計上される式典費用を捻出できる」ことになる。なお、中矢レナットOSCIP理事長を始め、企業回りをしていることも強調した。
【商工会議所との関係は】
五月の定例昼食会で進出企業各社に協力呼びかけを行なっているが、中矢理事長(当時財務委員長)が、出席者がほぼ全員日本人であるにも関わらず、ポルトガル語で事務的な説明に終始し、不評を買った経緯がある。
商議所側は再度の説明の機会を打診したが、これには応えておらず、何故、松尾委員長が説明しなかったかとの声もある。
商議所は当初から、「各企業独自での協力を」としており、今月十日には、百周年に関するプロジェクトの申請書などを各企業に配布、あくまで〃情報交換の協力〃での姿勢を崩していない。
なお、修好百周年の剰余金約百六十万レアルに関しても積極的な交渉は行なっておらず、これらに関しては、松尾委員長も苦笑いするばかりだ。
【麻生外相との話は】
今月二十日にサンパウロを訪問した麻生太郎外務大臣とは、同郷でもあることから、県人会で歓迎会の話もあったが、「時間もなかったし、具体的な話はできなかった」。
【離伯中の体制は】
米国シアトルで開かれる「第六回海外福岡県人会世界大会」に出席するため、今月二十二日から訪米、二十九日に帰国後、三十日に県連代表者会議、百周年執行委員会に出席する。
来月三日に再度離伯、同月二十四日に帰国する。ほぼ、一カ月ブラジルを留守にするが、「吉岡黎明、原長門、桂川富夫の三氏が守ってくれるので大丈夫」