2007年8月24日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】最高裁は二十二日、政府案支持取り付けのため国会議員を買収する裏金づくりに関与したジルセウ前官房長官を主犯とする容疑者四十人を審理する意向を固めた。バルボーザ判事が、同件に関する要約書とソウザ検事総長の背任罪起訴状を発表したとき、判事十人が起訴に同意した。前官房長官は、買収の見返りとして政府の要職や裏金を連立与党へ提供した容疑。同件に対する被告側弁護人の意見も聴取した。バルボーザ判事が二十四日、正式に審理手続きを行う。
ジルセウ前官房長官など裏金疑惑の容疑者四十人を審理する最高裁刑事裁判は二十二日、バルボーザ判事の号砲でスタートしたようだ。審理は政府の最高幹部による犯罪組織とタックス・ヘイブンを舞台とした公金流用、政治とカネの関係にメスを入れる。
起訴は十七カ月前に行われた。最高裁が扱う裁判では最大規模であり、被告人は数々の議員特権を有し、判決の執行猶予などを避けるため、立件に向けた捜査で起訴が遅れた。
検事総長の背任罪起訴は、七つの罪状からなる情け容赦のない厳しい内容であった。横領罪と贈賄罪、収賄罪、公文書偽造、マネロン、違法送金、犯罪組織の構築など。それを指揮したのが前官房長官。
弁護側も錚々(そうそう)たる陣容を整え、起訴内容を事実無根、見当違い、誤謬、空論、想像の産物とした。ルーラ大統領の表情は複雑である。前官房長官は労働者党(PT)政権誕生の立役者であり中興の祖と仰がれ、いまは白洲に据えられた往年の鉄人である。
大統領府はサンパウロ州勢が去り、リオ・グランデ・ド・スル州勢で占められている。ロウセフ官房長官が、裁判に情状酌量は無用という。ギア憲政相は裁判がどっちへ転んでも、政府は無傷だと安堵している。
裏金調達は、政府要人が主犯であるからできたことと、政府関与の犯罪を検事総長が訴えた。最高裁の刑事審理が始まるのは、二十七日になる。疑惑の発端はジェフェルソン前下議の内部暴露であり、告発が事実か検証された。
裏金調達作業は三班に分かれていた。一は政治家、二が仲介人、三に金融業者。第一班はPT党員と政治家からなり、PT政権続投のための基礎づくりであった。第二班がアングラ世界の仲介人。政府保護のもとに政治資金の調達と選挙資金のあっ旋、利権の活用。第三班は犯罪組織向けの資金用立て人。
裏金調達のマフィアは一九九八年、ミナス・ジェライス州知事選挙で生まれた。マフィアはその後、政府に渡りをつけたと検察庁はみる。裏金のシステムづくりは、PT党員の単独犯ではない。これらアングラ世界のマフィアがシステムを提供し、PTが便乗したらしい。
憲政相は最高裁がどのような判決を下しても、政府はテレビで高みの見物だと述べた。何が正しいかは議論すべきものではなく、本人が判決に不満ならば控訴すればよいのだという。
ジェンロ法相は、同件は政府も大統領も無関係だとし、裏金疑惑の最高裁審理をPTの耐熱検査とする説に反論した。政府はPT単独政権ではなく連立政権であり、疑惑は容疑者個人の問題だと片付けた。