2007年8月29日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】最高裁本法廷は二十七日夜、ルーラ大統領の右腕とされたジョゼ・ジルセウ前官房長官の刑事訴訟を開廷した。かつては労働者党(PT)政権の最大実力者として辣腕を振るった前官房長官は、いまや贈賄罪で刑事被告人の身となった。同起訴状には、元PT党首のジェノイーノ被告や前PT財務担当のソアレス被告も連座している。ソウザ検事総長は、三人が連立与党を政府支持へ取り込む裏金工作で、政府与党の核的役割を果たしたとして起訴していた。同件が立件されると、十二年以下の刑に処される。
最高裁へ起訴された四十人のうち、三十七人は起訴を受理された。最高裁の審理は、PTという政治団体が犯罪組織の顔を持っていると疑われるため、政府与党にとって不安材料となっている。ペレイラ前事務局長は、同起訴から免れた。
最高裁は、疑惑の下手人で広告業者のヴァレーリオ被告と社員五人の起訴も受理した。同公判の成り行きは、同疑惑が公金横領よりも国民から犯罪組織のレッテルを貼られることに焦点が集まっている。
裏金疑惑を暴露し、自ら被告席に連座したジェフェルソン・ブラジル労働党(PTB)前党首は、収賄罪と不正資金の洗浄、違法送金にも携わったとして嫌疑をかけられた。ヴァレーリオ被告は、中央銀行が裏金融資をフィクションと認めたことで、証拠書類の無効化を試みている。
俎上に上がるのは、PTのみならずPTB、進歩党(PP)、ブラジル民主運動党(PMDB)、解体した自由党(PL)などとなっている。その他、広報担当のドゥーダ・メンドンサ容疑者と共営者、ルラル銀行経営者などについては鑑定書を作成中である。
最高裁の全判事がジェフェルソン前下議の起訴を受理したとき、PTは意外と思ったようだ。爆弾男の存在は、政治の核的扱いよりも気になる。今度は火消し人が必要になる。
ルーラ政権の餅つき役は、舞台を降りた。PT三人男が白州に引き出されたばかりでなく、前広報長官のグシケン被告と前運輸相のアダウト被告の起訴も受理された。さらに二十七日、連立与党七人の幹部党員も起訴が決まった。
本法廷最大の山場は、大物ジルセウ被告の刑事訴訟審理であり、犯罪組織構築への対応である。PT党員は公金横領など眼中にないが、犯罪人として政治生命を断たれるのを憂慮している。さらに犯罪組織の構築が立件されると、議員特権は微妙になる。
前官房長官は二〇〇五年十二月、裏金疑惑への関与で議員権をはく奪された。同前長官は、関与は政治的取引であり、関与を立件する証拠はないと抗弁した。最高裁が同前長官の刑事訴訟を受理すると、議員特権は制限される。
陰の独裁者で激情型のスーパー大臣、ジルセウ前官房長官は二十六カ月間長い坂道を転げ落ちた。ライバル・ジェフェルソン前下議の怨念か。ルーラ大統領はある日、同前長官に権限を半分づつに分けようかと言った。同長官は半分をジョゼへ、残り半分をジルセウへと答えた。