2007年8月29日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】米国の不動産ローンの焦げ付きで、ドル通貨の下落ではなくてレアル通貨が下落するのは分からないという。不動産ローンとレアル通貨は、どうつながるのか。
為替投機家とブラジルの輸出業者は、対極関係にある。為替投機で大量のレアル通貨が買われ、高金利で魅力的なブラジルの金融市場へ投資される。そのため一月から七月までに、レアル通貨はドル通貨に対し一一・八九%高騰した。
金利はその間、七・〇八%が支払われた。合計して七カ月間に一九・七九%粗利益が上がったことになる。三年八カ月期限の米国債トレジュリーズ・ボンドの配当金である。
こんな美味しい話が世界のどこにあるだろうか。ヘッジ・ファンドに突っ込んでいた投機家らは、米国では二流市場の不動産ローンへ投資をしていた。その資金が、ブラジルの先物金利へ流れた。
一方、ブラジルの投資信託も米国の不動産ローンで資金を運用していた。米不動産市場の先行き不安が表面化したため、米国がこければブラジルもこけると、投機家が二七億四〇〇〇万ドルをブラジルから引き揚げた。そのためサンパウロ市証券取引所で暴落が起きた。
また、ブラジルの輸出業者が手持ちドルの半分を輸出先国へ保留し、残り半分のドルだけを売却した。ドル通貨の反騰で輸入業者の為替契約先払いが急増し、ローンを取り付けてドル購入に走った者が多い。
部分的だがドル通貨に買いが入り、為替取引に不均衡が生じた。そのためにBM&F(商品先物市場)でドルが上がり、レアルが下がった。これは投機家の動きによって生じた現象だが、落ち着きを取り戻すには少し時間がかかる。