2007年8月30日付け
来伯中の田所清克京都外国語大学教授が、二十七日来社し「ヤノマミ族(インジオ)について書かれた『悲しい物語』の訳書を著者のアルナルド・ニスキエル氏(リオ在住、リオ州教育長官)に贈ってきた」と語った。ニスキエル氏は、大いに喜んでくれたという。
『悲しい物語』―聖霊の国に住む民ヤノマミ族―は、自然と共存し、生き方を語り継いで守ってきた同族を紹介、ガリンペイロに襲われた悲劇にもふれている。先住の民の文明社会との共存を望む叫びを伝える本(カバーの文から)。おとながこどもにそのまま語ってあげられるような書きぶりである。嶋村朋子さんとの共訳、エドムンド・ロドリゲス氏の絵がそのまま使用されている。A5版三十五ページ、厚紙絵本風の仕立て。国際語学社発行。
田所教授は今回四十二回目の訪伯、日本国内では自他共に許す知伯、親伯の人。ブラジルに関係した著書、訳書は、今度の『悲しい――』が八十六冊目という〃凄さ〃だ。
今回は、岐部雅之さん(京都外語大大学院博士後期課程)と金馬弘和さん(同大学院前期課程)とともに来伯、訳書を贈呈したあとは、南マ州や北東伯にも脚をのばし、文献を集めたいという。
次の出版でねらいを定めているのは「カポエイラ」。教授によれば、カポエイラは、芸能や格闘技としての実技面では、日本国内でも知られてきているが、アフロ文化がブラジルにおいて国民文化にまで昇華したという事実は理解されていない。近く学問的に究明して一冊にまとめる意向だ。