2007年8月31日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】ソウザ検事総長は二十九日、裏金疑惑の裏付けとなる公金横領を実証する証拠書類を最高裁へ提出し、被告人四十人の有罪の可能性が高くなったことを明らかにした。押収した多くの書類の中に、ブラジル銀行から広告代理店DNAへの現金振替証書を発見した。裏金疑惑は茶番劇になると皮肉ったソアレス前財務担当の思惑は、これで当てが外れると同総長はみている。次はブラジル民主社会党(PSDB)ミナス・ジェライス州支部で、展開された裏金疑惑にもメスを入れると、同総長が布告した。
裏金疑惑の本丸はルーラ大統領であり、労働者党(PT)政権であるとジェフェルソン前下議とカルドーゾ前大統領が訴えた。ブラジルの政治形態を揺るがす歴史的裁判が、最高裁で始まった。大統領は、国民の六一%によって選ばれた政府であり、同裁判が政権に抵触することはないと、たかをくくっている。
最高裁の審理も判決も民主主義の形体と秩序の中で行われ、政治とは全く別次元だと大統領はいう。政治に対する審判は、国民が選挙という方法で行う。国民の選択は聖なるもので、最高裁が是非を論ずるものではないと述べた。
裏金疑惑の是非については二〇〇五年の大統領選前に国民に問うた。国民は承知の上で、ルーラ大統領を再選したと政府は考えている。前官房長官とその他容疑者は、その行為をブラジルの刑法によって裁かれる。餅をつくことと餅を食うことは、別の行為であると政府は言うのだ。
カルドーゾ前大統領は二十九日、四十人の被告の中にルーラ政権も加えるべきであったと訴えた。PTを築いた二人の前党首は、稀に見る知能犯で、PTの仮面をつけた盗人であり、コソ泥とはわけが違う。最高裁による刑事起訴受理は、PTを政治団体ではなく犯罪組織として審理することを意味すると述べた。
大統領は「部下がしたことで、大統領は関知しない」というが、政府とは個人ではなく、多数の人物で構成する組織である。右眼が見たことを、左眼は知らないといえるか。組織の中心に大統領があり、関知するしないに関係がないと前大統領は糾弾した。
被告席に座った火付け人のジェフェルソン前下議が、ルーラ大統領は裏金疑惑の檻をうまく逃げ出した脱走者だと糾弾した。四十人の容疑者はアリババの盗賊であり、首領がルーラ大統領。検事総長は、首領を恐れて容疑者リストから外したとみている。
四十人の盗賊は盗品を首領に捧げ、稼ぎが評価される。首領は盗品で連立与党の基盤を広げ、磐石とした。同前下議は、贈賄罪起訴に不満を訴えた。大統領選で選挙裁判所をだまし、裏金会計の存在を隠したことで再選そのものを起訴すべきだという。
最高裁は四十人の容疑者起訴に続き、検事総長から公金が犯罪組織を潤した振替証書という証拠の切り札を受け取った。最高裁判事の中には、当件に関し三つの見解があるようだ。検事総長の起訴受理と集中審理支持、様子見など。