2007年8月31日付け
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】サンパウロ州検察局特別班は二十九日、二〇〇四年十二月に若者一人を射殺し、もう一人にけがを負わせたタレス・F・スコエドル検事(29)の復職を認めた。また、同検事は身分を終身保障され、検事特権を回復した。月給は一万五〇〇レアル。
同班のメンバー四十二人のうち四十人が同検事の処分について判定する権利を有していたが、処分を決める会議には出席したのは三十一人、復職は賛成十六人、反対十五人の僅差で決定された。殺人事件が世間の反響を呼んだにもかかわらず、処分の決定には同検事の犯行前の勤務態度と業績が分析の対象となった。
同検事は陪審による審理が予定されていたが、今回の決定を受けて、高等裁判所で事件の審理が行われることになる。
同検事は〇四年十二月三十日、サンパウロ州沿岸部リベイラ・デ・サンローレンソ市のパーティー会場出口で当時二十歳の学生を十二発撃って射殺、もう一人(20)にもけがを負わせた。検事の恋人(19)を十人以上の若者が取り囲み、性的嫌がらせをしていたため発砲した、銃撃は正当防衛だと検事は主張していた。
同検事を起訴したサンパウロ州検察局のピーニョ長官は「嘆かわしい決定だ。同検事は検事の職を続ける資格も能力もない」と述べ、国家検察審議会に今回の決定の是非を問う可能性が残されていることを明らかにした。
被害者の遺族は、十二発撃って正当防衛はありえない、今後他の被害者が出る恐れもあると悲しみと憤りを隠していない。社会学者らは、同僚をかばうことで腐敗が横行し、社会制度と民主主義が脅かされると今回の決定を強く批判している。